光の幻想

□梵 瑠紫様
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「っ…はぁ、…はっ…。」
 
 
さすがの私も、この先の見えない迷路を全力で走り回り続ければ疲れてしまうみたいだと言うことが分かった。
 
 
乱れた呼吸を整えつつ前を見据えれば、角から見える影。
 
彼…白銀は…、私をどこへ連れて行こうとしているんだ…?
 
 
 
 
 
疲れていて、また全力で追いかけることはすぐには難しいが………、
 
 
それでも、もう一度だけ白銀と話したい。
 
私は白銀を愛している。
 
 
私と白銀の愛の為ならば………、
こんな茨道など…………………!!!
 
 
また、全力で追いかけはじめた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「白銀!!」
手を伸す、――掴まえれない
 
 
 
「っ……白銀!!」
また手を伸す――逃げられる。
 
 
「待ってくれ、白銀!!」
すぐに、次の角へ移動している。
 
 
 
 
 
 
 
「……は、っ……し、ろ…がねッ……待ってくれ!!!!」
力いっぱい手を伸した。
 
 
 
 
―――――瞬間。
 
 
 
伸した手が、影に触れた。
 
しかし、その影は…………、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――光を放ち淡く消えた。 
 
「……………え?」
 
 
 
 
 
 
 
白銀が、消えた……?
 
私が触れたら、消えてしまった。
 
 
………何故?
 
 
自身の手を見つめる。
 
 
 
 
 
 
「………ん?此所は……。」
 
 
 
 
 
ふと気がつけば、先程のような高い薔薇の壁がなく、広く広がった広場に出た。
 
 
真ん中に、薔薇の屋根がありその下にはテーブルとイス。
その横には小さな噴水がある。
……赤い水だが。
 
 
 
 
 
ゆっくりと、その場所へと近寄ってみた。
 
 
 
 
テーブルには、ティーセットのようなモノが見える。
 
 
だが…………、
 
 
 
 
 
酷く、荒れ果てたかんじになっているな……。
 
 
 
 
 
――ドクン。
 
 
 
 
 
「…………?」
 
なんだ?今のは。
 
 
胸が鳴った。
 
自然と足が、速くなる。
 
 
早く行かなければと、
 
何故か、そう思った。
 
 
 
 
 
 
 
…………白銀。
 
 
 
 
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