光の幻想

□梵 瑠紫様
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【Destiny 〜黒と白〜】



 
「………え?」
 
 
 
聞き違いであって欲しい。
 
私の、聞き違いで…。
 
 
 
 
「すまない白銀、よく聞こえなかった。もう一度、言ってくれないか…?」
 
 
聞き違いであろうと、そう思って居ればよかったのに、私は何故聞き返してしまったんだろうか。
 
聞かなければいいのに、聞いてしまう。
 
私は馬鹿…なんだろうな。
 
 
 
 
 
 
 
 
「……………。」
 
 
 
「……………。」
 
 
 
 
 
 
 
白銀は何も言わない。
 
 
 
 
……あぁ、やはりアレは聞き間違いだったんだ。よかった…。
 
私は安堵して、肩を撫で下ろした。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
―――束の間。白銀が口を開いた。
 
 
その時の顔は無表情。
 
 
「…劉黒。」
 
「………なんだ?」
 
 
 
 
 
取巻く空気が冷たい。
 
 
 
 
 
 
「……劉黒、」
 
 
 
 
 
白銀…………、
………お願いだ。
 
続きを言わないでくれ、
 
 
 
 
 
 
……聞きたくない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「俺達………
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
……別れよう。」
 
 
 
 
 
 
 
「…………それは…、どういう…」
 
「終わりにしよう。」
 
「なっ…。……………嫌、だ。私は…認めない…!!」
 
「…劉黒、」
 
「何故だ?!白銀、何故、そんなことを言うんだ?!
私が何かしてしまったのか!?それならば悪い所を直す。白銀の望むままにしよう。
怒っているのなら許してくれるまで謝る。
だから別れるだなんて…―「劉黒。」
 
 
 
「………っ…。」
 
「……ごめん。」
 
「…………。」
 
「…………劉黒、
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さようなら。」
 
 
「っ!!…待ってくれ!!
白銀……ッ!!」
 
 
 
 
 
 
―――白き影は光を去った。
 
 
 
「し…ろ…がね………っ!!」
 
 
 
叫んでも、もう届くことのない、声。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
黒き光は―――
 
 
 
 
 
 
影を失った。
 
 
 
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