小説
□恋をする
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年齢に相応して、まだ幼さが残る顔だち
身長はどちらかといえば高い方
髪は青みがかった黒
おでこを隠すことなく分けてお洒落に決めている
体つきに関しては高校生離れしている
が、それは着こんだ服の下に隠れてしまい気がつくのは難しい
頭の出来はかなり良いほうで、クラスでは五本の指に入るほど優秀だ
学力だけでなく運動でも飛び抜けた力を持っている
「絶やすべからず、一族の業」
と師である父に半強制的に習わされた槍術
それが人並み外れた運動神経を開花させていることも、習っていたことも、免許皆伝していることも、知るのは本人のみ
魅力的な外見だけでなく彼は口が達者で冗談にだって合わせられる
お調子者と言ってもいいかもしれない
性格は絵に描いたようなお人好しだ
困ってる人を見ると助けずにはいられない
だが、むやみに手を貸すようなおせっかいではなく陰で見守ることもできる
そのお人好しは自らが決めた信念にまで及ぶ
『護る』
この漠然とした信念に自分は含まれてはいない
自分の犠牲はいとわない
弱者、子供、老人、そして特に女が対象だ
信念が信念になるきっかけだったのが
「男は女を護るもの」
という父の、そして父が愛した母の口癖だった
それは一人息子の義務になり、当たり前になり、いつしか信念に影響した
自分のことはどうでもいい
ただひたすら人のため
沖田総護とはそんな青年だ
そんな万能を極めた彼も もう陵桜学園高校の三年生
文武両道、人あたりも良い彼に
「友達は何人いますか?」
と聞けば、かならずこう答えるだろう
0…と