上×一は

□全ては、貴方のもの
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私の心も、身体も、全て、それは、貴方のもの




全ては、貴方のもの




―――金吾。今夜、私の部屋に来い



何度も頭の中を繰り返される、小平太先輩の言葉。


あの声が、あの顔が。

僕の全てを支配する。


たとえ、滝夜叉丸先輩の代わりでも。


ぼくは小平太先輩が好き。



「金吾ぉー、どうしたの?」

「え?」


喜三太とお風呂へ向かう途中。
色々考えていると、喜三太に話しかけられた。


「だって、さっきから上の空だよー?」

「あ、ごめん。ごめん」


「昨日、帰ってこないと思ったら、朝にはいるし…大丈夫?」

「大丈夫」


心配してくれる喜三太を安心させようと、笑顔を作る。

でも、それが無理してるように見えて、余計心配させてるみたいだった。


「ぼくは大丈夫だよ」

「そぅお?」


喜三太の気遣いが心に刺さる。

今日もいなくなることを知ったら、また心配させるかな。



「ぼくは、大丈夫だから」



念のため、もう一回言った。


そうやって、自分に言い聞かせた。



そうしないと、潰されてしまいそうだったから。
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