上×一は

□みている、ずっと。
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あなたを、見ている。あなたが、視ているずっと、魅入るのはあなたそのもの




みている、ずっと。




兵ちゃんが好き。


他愛ないことを話しているときが楽しくて。

からくりを一緒に考えるときが楽しくて。


兵ちゃんの笑顔を見ると、ぼくも笑顔になる。

心から笑顔になれる。


は組のみんなといると心地良い。


アホで、忍術学園のトラブルの原因だと言われるけれど、みんなの包み込むような雰囲気が好き。
みんなでテスト前に徹夜したり、マラソンでぜぇぜぇ、言いながら懸命に走ったり。

それでも、楽しい。


みんな、笑顔だから。

ぼくも笑顔になれる。

ひと時でも忘れられるから。



この何でも視える視力を。



でも、この人の傍にいると



ひらひら、ひらひら。


蝶を象ったそれが鼻先に近づいて、そして、この人の方へと飛んでいく。

瞑想でもしてるかのように目を伏せて。


(竹谷先輩…)


そっと先輩に寄り添う。

竹谷先輩は気付いたらぼくの傍にいてくれるようになった。

何でだろう。



でも、この人の傍にいると


ひどく、ひどく、ひどく



ちちち、ちちち。


小鳥を象ったそれがぼくの肩に乗った。

じわり、とそこが温かくなる。


ひらひら、ひらひら。


蝶がまた、ぼくの方に飛んでくる。


光を発するそれらに包まれる。
周りにはいろんな動物や虫の形をしたそれらがいた。


「…」


すり、と竹谷先輩の腕に擦り寄る。



この人の傍にいると


ひどく、ひどく、ひどく


温かい。


ぼくの愛しい人。
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