上×一は

□冬の日、吐息
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冬の寒さでも、温かい。




冬の日、吐息




肌の刺すような寒さ。

真っ白い絨毯がひかれた校庭。


「わー!雪、積もってますね!」


金吾が子供ながらにワクワクした声で言う。
しかし、隣では滝夜叉丸が嫌な顔をして、その雪を見ていた。


「…げ」


何かを感じ取り、思わず声が漏れ出る。
金吾はそれを不思議に思い、声をかける。


「…?どうし、」


が、後ろから来た小平太の声に掻き消された。


「お、雪だな!」


嬉々としたトーン。滝夜叉丸の顔が更に悪化する。
ぬ、と金吾の隣に三之助が現れる。


「金吾、覚悟しといた方がいいぞ」

「え?」


きょとん、とする金吾。
三之助の顔も普段の飄々としたものではなく、少し嫌気があった。


ざっざっ、と歩き出す小平太。
後ろを振り返り、一列に並んでいる体育委員に告げた。


「よし!今日は雪合戦するぞー!」


漫画なら、どーん、という擬態語が似合うだろう。
そんな感じに小平太は言った。


「…やっぱり。私はバカバカしくてやりません、そんな子供らしいこと」


年にしてはまだ喜んで良いはずなのだが、滝夜叉丸は知っていた。

小平太のやる雪合戦。
とてつもなく、半端ない。

容赦なく、雪の塊を当てまくる。

先輩、後輩関係なく。
痛いってもんじゃない。
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