上×一は

□どうか伝わって
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「な、七松先輩…?」


金吾が不思議そうに私の名前を呼ぶ。


勝手に体が動いた。

私の横にいる金吾を布団に押し倒した。

金吾の着物が少し肌蹴て、白い肌が私の目に映った。


ドクン、と心臓が鳴る。


こんなこと、してはいけない。

金吾にこんなこと、してはいけない。


だめだ。


「あの、七松先輩…どうしたんですか…、」


金吾の不安そうな声、顔が私を苦しめる。


ごめん、金吾。ごめん。


私は今から何をしようとしているのだろう。


「金吾、…、ごめんな」


金吾の襟に手を添える。


「…な、なにするんですか」


金吾の着物をばさ、と脱がす。そのまま床にぱさり、と落とす。

幼い上半身が露になった。


誰も触れられていない、その肌。


私は今から何を。


「な、七松先輩…、なにを…」


金吾が怯えた目で私を見ている。

ぶるぶる、震えて。


私が怖いのか。


私自身を見て欲しくて、私は金吾の頬に触れた。

大事なものを扱うように。壊さないように。


金吾、好きなんだ。


「金吾…、」


金吾が、好きなんだ。



「や、やだ…やめてください」



それは拒絶の言葉だった。

金吾が私を拒んだ。



息ができない。

胸が苦しい。


なぜ、私ではだめなんだ。


ぴし、と何かが壊れる音がした。


私が私でなくなるような、そんな感覚。



胸が苦しい。



ただ、白い肌が私を誘惑した。
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