上×一は

□どうか伝わって
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「七松…先輩、」


幼い輪郭、あどけない横顔。
細い首筋、子供特有の身体。


燃え上がる、欲情。

私は、今何をしている?


私の下には金吾がいて。


組み敷いて、小さな手を押し付けて。


私は、私の大事な、大切な子を犯そうとしている。


「…っ」

「だ、…だめっ、先輩…だめ」


顔を歪ませて、私を拒絶する金吾。

この子は私ではなく、あの人を見ている。


胸が苦しい。


しかし、諦められなくて。
自分に振り向かそう、と藁をも掴む思いで、もがいた。

それでも、この子はまだあの人を見ていて。

切なくて、悲しくて。


胸が苦しくて。


私の中で、何かが壊れた。


「…、金吾」

「ぃゃ、…離して…七松先輩っ」


拒絶の言葉を聞くたびに絶望する。

私の顔が歪む。



私は止まらなかった。



腰を折り、金吾の真っ白な首筋に吸い付く。
ちゅう、と赤く、咲く花。


「…っ!、だめッ、お願い…止めてっ、」

「…、」


金吾の懇願する顔が痛々しくて。
胸が締め付けられた。



「金吾、…好きなんだ」



言ってしまった。


私の想い。


こんなところで言うつもりなんてなかった。

こんな状況で言うつもりなんてなかった。


金吾。


「…七松、先輩」


金吾の見開かれた目が、怖かった。

お前は何を思っているの。


私を軽蔑しているのか。


気持ち悪い、と思っているのか。


それとも…、少しは嬉しいって思ってくれたのか。


「お願いだ…金吾、」


私を好いて欲しい。


私のことを好きになって欲しい。


私に笑顔を向けて欲しい。


私だけに泣いた顔を見せて欲しい。



金吾。
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