上×一は

□どうか伝わって
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「…七松、せんぱっ」


拒絶を恐れて、私は口を塞ごうと、口付けしようとした。


「ぃやっ、口だけは…っ」


精一杯、避けようとする姿が。

私の胸を容赦なく突いた。


「なぜだ…?」


問いかけると、怯えながらも金吾は柔らかそうな頬を赤く染めた。


「ぁ…ぼく、まだ…し、したことない、から」


胸の奥に広がる欲望。
誰も触れていない、唇、そして身体に、私を刻み付けたく思った。


「…っ、」


分かった、金吾。
口付けは本当に好きな人としたら、良い。

ただ、お前の体だけもらう。

ごめん、金吾。
もう、二度とこの感情をお前に向けないから。

一回だけ、私だけのもの。

このときだけ、私だけのもの。

今は

この瞬間は

私だけのもの。


「…ふ、ん」


金吾の肌に手を滑らせる。
柔らかな肌は私の手に吸い付き、淫らに見えた。


「…ゃ、…ッ」


目を強く、つむる金吾。

見たくないのだろう。


当たり前だ。


男の自分が好きでもない相手に男に犯されようとしているところなんて。


「…金吾、」


私の声が、自分でも情けなく聞こえた。

欲望のままに金吾を抱く。


苦しくなる胸を無視して、ただ、熱に溺れた。


「…やっ、止めて…っ」


金吾の言葉が耳に張り付く。

私が壊れていく。


「ゃぁっ…、ぁっ、ん」


拒絶だった言葉が声が艶のあるそれに変わる。

一瞬で熱が上がった気がした。


「…っ、」


ゾクゾク、と快楽が背筋が駆け上がる。

ああ、なんという。
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