上×一は

□愛しい貴方、艶やかな君
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「小平太先輩…お久しぶりです」

「金吾」



にっこりと笑う貴方。
つられて、笑う。



「金吾、好きだ」



切なそうに言う貴方に胸を射抜かれる。

離れていた時間さえもこの想いを育むのか。



「小平太先輩、好きです。愛しています」



そう言うと、貴方は至極嬉しそうな顔をした。


その顔が堪らなく好きだ。

力強く抱きしめられる。
匂いや、体温が直に降ってくる。

体が熱くなっていった。
肌が汗ばむ。



冷静とか、理性とかもうなかった。



そのまま、来客室に連れて行かれ、雪崩れ込むように倒れた。



紙縒りが解け、髪がバラと散らばる。



「伸びたな、金吾」


そう言って髪を一房掬い上げて、ちゅ、とキスを落とした。

かあ、と顔が赤くなった気がした。いや、実際赤くなっているだろう。


くい、くい、とその手で髪を弄ばせる貴方。


「綺麗だ」


障子から降る光で、貴方の顔が見えない。

けれど、目は煌くように光っていて。


射抜くようなその視線に体が更に熱くなった。


「私と違って、手入れされてる。流石だな、金吾」

「…っ」



それは貴方が長い髪が好きだと言ったから。


髪に指を何度も通していた貴方の顔が、とても幸せそうだったから。


会う度に「伸びたな」と言う貴方の声が嬉しそうだったから。
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