上×一は

□そうして、私は手に
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肩を震わせながら、精一杯言葉を紡ぐ金吾。

私は五歳も下の子に何を感じている?


これは明らかな欲。

これは明らかな情。


「他には何もいりませんからぁ…!」


金吾の全身全霊の叫びが胸に響いた。

ぷつん、と何かが切れた。


私は、自分よりも小さい金吾の顎を掴んで無理やり顔を上げさせた。
びくり、と金吾の肩が大きく揺れた。


泣いて初めて見た金吾の目。

硝子玉のように光っている。


きらきら、きらきら。

きらきら、きらきら。


吸い込まれるように、そのまま口を付けた。

最初は軽く。

そして、再び付ける。

今度は深く。そして長く。


「ふ…ッ、ン」


顎と後頭部に手を軽く添えて。

しかし、金吾にとってはそれを解くことは勿論、左右に首を振ることさえ出来ない。


舌を入れ、小さなそれに絡ませる。

歯列を辿り、口の中を私色に犯していく。


どちらのものか分からない唾液が金吾の口の端から溢れた。


そんなものが気にもならないくらい、その行為に没頭する。


金吾の顔が段々と高潮してくる。

息が乱れる。

涙が頬をまた流れた。

しかし、感情的な涙なのか生理的な涙なのかは分からなかった。


苦しさのあまり、私の服を掴んでいた手にぎゅう、と力を込める金吾。

私は名残惜しく、金吾の口から自分の口を離した。


はぁ、はぁ。


金吾の荒い呼吸が耳に張り付く。

頬は上気し、目は涙で潤み、汗がこめかみを流れた。


その汗を目が追う。


いつの間にか、その汗を舐めるように金吾の首筋に口が移動した。
ちゅ、ちゅと金吾の鎖骨や肩にもキスを落としていく。
もっと下へ降りようとしたが、服が邪魔で出来なかった。


そのまま流れるように、服を脱がそうとする。

下紐を解こうと手をかけると、金吾が荒い呼吸を鎮めたのか、口を開いた。


「ななまつせんぱい」


まだまだ、先ほどの接吻で息が切れ切れの金吾。

私の手元を見ながら、私の名を呼んだ。


目がふるふる、と揺れている。


今から私がしようとしていることに戸惑っているのか。


ぎゅう、と私の肩に置いてある手が弱々しく握られる。
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