上×一は

□そうして、私は手に
7ページ/10ページ

荒い息をそのままにクタリ、と私の方へ身体を預ける。
ハァ、ハァ、と熱い息が肩口に掛かる。
髪がさらり、と肩から落ちる。


ヌチャ…、と粘り気のあるそれに指で掬い上げる。


「二回目なのに濃いなァ…金吾は自慰をしないのか?」

「…っ、」


自慰と言った瞬間に顔を赤くする金吾。

初々しい反応に背筋がぞくり、とした。

その赤くなった金吾の頬を撫でる。

首を掻いてやる猫のように気持ち良さそうに顔を預ける金吾。

泣き跡が幾筋も幼い頬の上にできていた。


「そうか…自慰するまでもないな」

「ふぇ?」


きょとんとした金吾の顔に口角が上がる。


先程まで乱れていた艶っぽい顔が嘘みたいだ。


しかし、髪は乱れ、鎖骨には私が付けた赤い痕が目に留まり、熱が冷めることはなかった。


幼いながらもその身体から醸し出す色に酔う。


「今度から私の相手をしてくれるな…金吾?」

「…っ」


眉を寄せながら、顔を更に赤く染める金吾。

誘うような声を出す。


拒否されれば、ここまでだ。

一瞬の気の迷いだった、とでもなるだろう。


今はまだ、滝夜叉丸がいる。

熱の吐き出し口はまだ、ある。


…いや、私は本当にそう思っているのか?


金吾を滝夜叉丸の代わりだと、思っているのか。


欲に従うまま、金吾を抱いているのか。



…分からない。



ただ、金吾が



欲しい。



滝夜叉丸じゃなくて、金吾が欲しい。



こんな気持ちは初めてだった。



「金吾」


甘い、声が出た。


金吾の表情が一瞬曇り、そして切ない顔に変わる。



そして、小さく頷いた。



その何気ない動作がなぜか、ゆっくりと見えた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ