上×一は

□悲し、愛し
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体育委員で鍛えられたのか、腰の痛みは昼ぐらいになれば、幾分和らいでいた。

これなら、委員会に出れそうだ。

ゆっくり、歩きながら、委員会へと向かう。


「金吾、こんにちは」

「あ、時友先輩。こんにちは」


ほんわか、笑う時友先輩に緊張していた体が解れる。
つられてぼくも笑う。


「昨日はよく眠れた?もう大丈夫?」

「はい、眠れまし…」


また、映像が頭の中を過ぎる。



―――良い子だ…金吾


―――これで金吾は私のものだな…



かあ、と一瞬で赤くなる顔。
汗ばむ身体。


「金吾?どうしたの?顔が赤いよ、大丈夫?」

「だ、大丈夫です!」

「何してるんだ?お前ら、始まるぞ」


にゅ、と現れる次屋先輩。
二人して慌てて、集合場所に集まる。


「みんな、集まったな」


小平太先輩の顔が見れない。

先輩の身体、手、髪、それらを見るだけでもうこの身体は火照っていく。
どんな顔をして見ればいいのか、分からない。


「今日は、走るの止めて、バレーだ!」

「バレーですか?」


バレーボールを掲げて、嬉しそうに笑う小平太先輩。
その隣で滝夜叉丸先輩が嫌そうな声で答えてた。


「金吾も、バレーしたいよな?」

「…!」


いきなり、小平太先輩の顔が近づいてきた。

声にもならない驚き、一瞬のうちに顔が熱くなった。
なにか反応しなくちゃ、と思い、ぶんぶん、と首を縦に振った。


「だよな!」


にっこり、と笑う小平太先輩。

その笑顔が眩しくて、思わず目を細める。
どきどき、と心臓がうるさい。


好きなんだ。


太陽の光に照らされる小平太先輩が。


ぼくは


小平太先輩が好き。


「よし、行くぞー!」


いつもの明るい小平太先輩の声が胸に響いた。
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