上×一は
□それでも、私
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それでも貴方の側にいたい、ワガママなのは私。
それでも、私
また、酷くした。
こんな自分に呆れる。
けれど、身体は言う事を聞かなくて、本能のまま動いてしまう。
それでも、好きだと言ってくれる金吾に私は。
ぐるぐる、と考えては答えが見つからない。
この胸を焦がす様な想い。
一体、何なんだ。
分からない。
私自身が分からない。
―――こ、へーた…せんぱっ…もぅ許してぇ…!
あの金吾を初めて、抱いたとき、私の名前を呼んでくれた。
あれから、あの声が離れない。
あの一度きりの。
それから、あの子は私の名前を呼んでいない。
どうしてだろう。
…、私は呼んで欲しい、と思っているのか…?
そんな自分に驚く。
名前なんて執着してなかったのに。
滝にだって、呼んで欲しいとも思ってなかったのに。
私は一体…。
そんなことをぐるぐる、考える。
そんな中、自主練をしていると、金吾の声が聞こえた。
「たぁー!」
声を聞いていると、剣術の稽古かなんかかな、と思った。
戸部先生につけてもらっているのだと、嬉しそうに話していたことを思い出した。
目標なんです、とも。
どんな風に稽古をしているのか、気になって、こっそり、と見に行った。