上×一は
□冬の日、吐息
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一瞬、面白くなさそうな顔をする小平太。
しかし、すぐに切り替える。
にこ、と笑い、残りの三人に言う。
「じゃ、滝は審判な。お前ら三人と私でするぞ!」
「え、先輩一人で大丈夫なんですか?」
「私を誰だと思ってる、体育委員長だぞ!」
ぐりぐり、と心配する金吾の頭を撫でる。
突然の接触に顔が赤くなる金吾。
小平太のその言葉に三之助が珍しく、やる気になる。
「やるからには本気でやりますよ」
「おお、かかってこい!」
そんな三之助に動じる事も無く、笑顔で答える小平太。
早速、雪の玉を作っている。
「大変なことになったね」
「…はい」
そんな二人の後ろで苦笑いをする四郎兵衛と金吾だった。
真っ白い雪が目に眩しい。
「行くぞー!」
そう言って、小平太は雪玉を両手に持つ。
足下には雪玉の作り置きが、そして、横にはつい立てまで作っていた。
まさに、雪合戦だった。
「…ほ、本格的…!」
初めて、雪合戦する金吾はお遊びの雪合戦しか知らなくて、その公式さに驚く。
これが球技の雪合戦である。
「当たったら、ゲームオーバーなー!」
そして、投げられる雪玉。
それが開始の合図だった。