上×一は

□蝶の夢
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初めて視たをたどれば

貴方がいた

それはまるでのよう。




蝶の夢





「…」


視えるものしか信じない。

視えないものは信じない。


みんな、そうだと思う。


でも、ぼくは違う。

みんな視えないものが視えてしまう。


(あ、また…)


黒いものがうようよと浮かぶ。

次第に大きくなっていく、それ。


(学園は多いな…)


ぼくの周りに立ち込めていく。
避けていたら、通れない。

仕方ないから、その中を歩く。


(気持ち悪い)


頭が痛い。
吐き気がする。


一人になるといつもこうだ。


立っていられなくて、その場に座り込む。
胸をぎゅう、と抑える。


(こんなことなら、虎ちゃんと一緒に居れば良かった)



「一緒に行く?」


そう言う虎若に、ぼくは首を振った。


「うーん、ちょっと用事があるから先に行ってて」


そのときは大丈夫だと思ってた。


「分かった」


部屋を出て行く虎若。

部屋に一人でいるときは出なかったのに。
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