企画
□まるで、秘め事のように
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まるで君と秘め事をしているようで。
ぼくとの逢瀬を隠すように。
まるで、秘め事のように
ぼくは三年は組の三反田数馬。
保健委員会に所属している。
ぼくは影が薄い。
保健委員長、六年は組の善法寺伊作先輩にさえ存在を忘れられていて、今やそれがコンプレックスになっているである。
はぁ、とため息をつく。
「どうしたんだ?数馬、元気ないなぁ」
「藤内」
「数馬も明日の予習する?」
「遠慮しとくよ」
この人は同級でもあり、同室でもある浦風藤内だ。
彼は予習が趣味という、ちょっと変わった忍たまである。
今日も夜遅くまで、実習訓練の予習をするという。
藤内は頑張り屋さんだなぁ、と思う。そして尊敬している。
ぼくのことを気にかけてくれてるし、一番仲が良いとも思う。
「なんだよー、つれないヤツだなぁ…今日なんかあるの?」
「保健室の当番なんだ」
「そっか…、じゃあ仕方ない」
「行ってらっしゃい」
ぼくは、部屋を出る藤内に手を振った。
藤内もぼくに笑顔を向けながら、行ってきます、と言っていた。
もうすぐ、夕日が沈む頃だ。
さて、ぼくは保健室へ行こう、と準備をし、部屋を出て行こうとすると、訪問者が来た。
夕日に照らされて、障子に人影が映っていた。
こんこん、とノックされる。