上×一は

□あふれる涙、言葉
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夜、あふれる涙を私は止められなかった、

朝、貴方への言葉を全部吐き出した。




あふれる涙、言葉




涙が出る。


ぽろぽろ、ぽろぽろ。

ぽろぽろ、ぽろぽろ。


貴方が好きなのに。

貴方が愛しいのに。


貴方は僕ではない人を見ている。



「小平太、先輩…ッ」



真っ暗な部屋で苦しく漏れた声は誰にも聞こえない。

悲しくて、切なくて。


この気持ちさえなければ、貴方の笑顔だけで満たされたのに。
この気持ちさえなければ、貴方の撫でてくれる手だけで満たされたのに。


貴方は僕ではない人を愛している。


絶えられない。

でも、ぼくはこの気持ちを消せないでいる。


ただただ、貴方が好き。
この気持ちだけは、どうか。




唐突にある噂が波紋のように広まった。



『七松小平太と平滝夜叉丸は恋仲である』



と。

ぼくは半信半疑だった。

初めて聞いた時は、まさか…、と思ってた。

委員会で特にそういう雰囲気になったところなんて見たことないし、いたって先輩後輩の仲だ。

でも、委員会が終わって、滝夜叉丸先輩にこそり、と耳打ちしている七松先輩を見かけてしまった。
普段の先輩からはそんな耳打ちをするような人には見えなくて。


そこで…もしかして…と思った。


噂にはまだ続きがあって、どうやら夜、七松先輩の部屋で声がするらしい。

甲高い、女の人のような声。


それは、つまり。


二人はそういう関係、と裏付けているということで。
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