上×一は
□あふれる涙、言葉
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ぼくは信じたくなかった。
二人が恋仲なんて。
二人が愛し合ってるなんて。
そう思ってる自分に嫌気が指した。
二人とも好きなのに。
ぼくはどうして醜いことを思っているんだろう。
なんで、涙が出るんだろう。
まだ確かではなかったけれど、ぼくは一人、苦しんでいた。
喜三太が起きないように、布団に包まって声を押さえ込んで、出てくる涙をただただ流し続けた。
止まらない涙に、ぼくは枯れないのかな…と他人事のように思った。
悲しくて、切なくて。
こんな自分が嫌になって。
でも、好きで。
こんな日が何週間か続いた。
目の腫れは朝のうちに取れていた。
泣き腫らす事はまだない。
そのまま疲れて寝てしまうから、一晩中泣くということはなかった。
でも、毎晩のように涙は流れた。
「七松先輩…」
そっと呟く貴方の名前にぼくの想いを乗せて。
それでいい、と思ってた。
この想いは隠し通そう、と思ってた。
委員会だって普通に過ごせた。
ただ、夜に泣くだけ。
でも、それさえも崩れることになった。
忍ぶ恋は終わりを告げた。