薄桜鬼

□あなただから好きになったんです(沖田)
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君は僕の大切な宝物。

それは今も昔も、変わる事の無い真実。





■あなただから、好きになりました










今日から桜華学園は文化祭特別時間割に突入する。
ほとんどの授業が午前中で終了となり、午後は文化祭の準備に当てられるのだ。
その上、1〜3年の各学年1クラスずつがくじ引きにより決められ協力して準備を行うのが慣わしになっている。
そうして準備が始まって2日目、千鶴は自分達のクラスで行うことに決まった喫茶店の準備をしている最中だった。
なにをするのかも冷静な議長の指揮する話し合いにより穏便に決まり、後は準備をして当日を待つだけ。何の問題も無い。・・・はずなのだが、そうはいかなかった。


「・・・あの」
「ん?どうかした?」

チクチクと、当日使うエプロンを縫う千鶴の横で総司はにっこりと笑みを浮かべた。
それだけなら、いい。
だが、今回はそれすらも許されないのだ。

「沖田さん・・・はB組とペアですよね?ここはC組なんですけど」
「だから?」
「自分のクラスの準備とか・・・手伝わないんですか?っていうか此処にいないでください!」

そう、公正なくじ引きの結果千鶴が一緒になったのは総司のいるクラスではなく別のクラス。
そうなってしまえば準備の間は勿論当日すら滅多に会う時間が取れないのだが、総司はそんな事を一切気にせず千鶴のクラスに入り浸っているのだ。

「クラス分けなんか知らないよ。僕のいない間に決まった事なんて認めない。それに僕のクラスが千鶴ちゃんと一緒じゃないのにさ、一君のクラスが一緒だなんてもっと認められないね」
「でも・・・くじ引きの結果ですよ?」
「そのくじ引き引いたのが僕だったなら、きっと僕は今此処に堂々といられるはずさ」
「でも風邪で休んでいたんですから仕方ないじゃないですか・・・」

それでも認めない、と千鶴に手を伸ばしてくる総司。
慌ててその手から逃げようと席を立つ千鶴だったが、あっという間にその身体は総司の手によって捕らえられてしまった。
まさかクラスメイトのいるこの教室内で抱き寄せられることになるとは思っておらず、千鶴は顔を真赤に染めて抵抗した。

「は、離してください・・・!!」
「嫌」
「皆見てます〜〜ッ!!」

周りから言わせればあぁ、沖田先輩またやってるよと慣れっこな状態なのだがそんなことはまったく知らない千鶴。
普段から暇があればこのクラスに顔を出す総司にクラスメイトはもう諦めたと言ったほうが正しいのかもしれない。

「総司」
「・・・なに、一君」
「クラスに戻るか、家に帰るかどちらかにしろ」

ぎゅうっと千鶴を抱き締めた状態でいる総司に、本来千鶴のクラスと共に作業を行う三年のクラスの斎藤が話し掛ける。
流石にこの状態で放置しておくのは問題だと思ったのだろう。

「クラスに戻るのは嫌」
「子供ではないんだ、我儘を言うな」
「一君ってさ、本当に変わらないよね。今も・・・昔も、さ」
「その言葉はそっくりそのまま返してやる。千鶴、今日の準備はそこまでだ」

斎藤に言われ時計を見れば、既に授業の終わった下校時間。
慌てて机の上に広げられたままだった針や糸を片付ける。

「間に合いそうか?」
「斎藤さん・・・はい、大丈夫ですよ。裁縫は得意ですから」
「そうか」
「千鶴ちゃんはドジだけど、裁縫は出来たからね。片付け終わった?じゃあ、帰ろうか」

未だ出来上がっていないエプロンを袋へと入れて机の横に掛けると同時に総司に手を取られる。
自分よりも大きな手が重なったと思えば、その足は既に玄関へと向かっていた。

「沖田さん・・・!まだSHが・・・!」
「一君後よろしくー!」

後ろから斎藤の止める声が聞こえたが、総司に引っ張られる千鶴にはどうすることも出来ず、そのまま玄関へと連れて行かれてしまう。
もうそこまで来てしまえば何を言っても無駄だと言うのが分かっているのか、千鶴も諦めて靴を変えた。
手を繋いだまま校門を出て、一体何処へ行く気のなのかと問い掛ければ返って来るのはにっこりとした笑みのみで、教えてはくれない。
そのまま暫く歩いて、前方に見えてきたのは総司の住むマンションだった。

「沖田さん?」

初めて来るわけではないが、一体総司が何を考えているのか分からず千鶴は首を傾げた。
そのまま総司の一人暮らしをする部屋へと入り、促されるままに座れば、そのまま後ろから抱き締められた。

「千鶴ちゃんと一緒じゃないのに文化祭とか、やる気でないよ」
「それは・・・私も寂しいですけど仕方ない事ですから・・・」
「一君とクラス変わってもらおうかな」
「斎藤さんと?・・・無理な事言わないでください」

くすくすと笑えば、どこか拗ねた表情をする総司がぎゅっと腕に力を込めてくる。

「千鶴ちゃんってさ、昔から呼び方変わらないよね」
「え?」
「普通学校の先輩って言えばさ、沖田先輩、斎藤先輩じゃない?この前土方さんのことも先生って呼ばなくて怒られてたでしょ。二人きりの時にだけ名前で呼んでくれるのは嬉しいけどさ」
「それは・・・その・・・」

つい・・・と恥ずかしそうに眉を下げる千鶴に今度は総司が笑う。
思い出すのは、遥か昔。京の都を蒼き狼として走りぬけた頃。人を斬り、時代を変えられるときが必ず来るのだと、誠の旗の元に集った男達。
そして、鮮血の彩るその都で出会った一人の少女。
小さな身体で断固たる決意を瞳に秘めた、鬼の血を継ぐ少女。

「あの頃はさ、未来がこんなだなんて思わなかった」
「そうですね」
「また君に会えるっていうのは確信してたけどね。まさか他の皆までいるってどうなのさ・・・独り占めする予定だったのに」
「でも皆さんがいるほうが私は嬉しいです。あの頃みたいで・・・」

どれだけの人を斬っただろうか。
人を統べることも、人を信じることも、自分には向いていなかった。
出来るのはただ信じる一人の男のために刀を振るうこと。そして、その結果に自分に訪れたのは、決して癒える事のない病魔。

「ねぇ、千鶴ちゃん」
「はい?」
「今の僕と、昔の僕。どっちが好き?」

その病魔と共に、決して傍からはなれなかった一人の少女。
あの時出会った少女は、今の自分をどう思っているのだろうか。
確かに時代は変わった。もう今の時代に侍は・・・刀は必要ない。無闇に人を斬ることも、争うこともない。
学校へ行き、他の誰とも変わらない日々を過ごす。
けれども、総司はそれが怖かった。
変わったのは時代。生まれ変わった自分は、なにも変わってはいない。刀を持たない自分になんの価値があるのだろうか。
そんな自分を、好きでいてくれるのか

「私は、総司さんが好きなんです」

千鶴が、自分を抱き締める総司の腕にそっと手を重ねた。

「総司さんが何を思ってそう聞いてきたのかは分かりません。でも、私が好きなのは総司さんで、今も昔も変わりません。刀を持った総司さんは私を守ろうとしてくれた。でも、刀を持たない総司さんも私を守ろうとしてくれてます。私は、あなただから好きなんです。不器用で、意地悪で、どこか子供な総司さんだから好きになりました」
「・・・・・・っ君は本当に、僕の煽るのが上手いよ」
「え・・・って、んぅ・・・っ」

後ろから抱き締められた状態のまま、唇が合わさる。
突然の事に驚いて口を閉じれば、こつこつと総司の舌が千鶴の唇を叩く。
ゆっくりと体勢も総司の足の上で横抱きにされる形へと変わり、千鶴はおずおずと唇を開いた。
瞬時にするりと口内へ侵入して来た総司の舌が、戸惑う千鶴の舌を捕らえる。

「ん・・・ぁ・・・んぅ・・・」
「はぁ・・・千鶴ちゃ・・・ん」

捕らえた舌を逃がさないようにと深く交わりながら、ゆっくりと総司の手が千鶴の制服のリボンを解く。
総司が一体何をしようとしているのかに気付き、千鶴はぎゅっと強く瞳を閉じた。

「嫌・・・?」
「・・・・・・総司さんは、やっぱりずるいです」
「ねぇ、折角だから総司先輩って言ってみたりとか・・・しない?」
「〜〜〜っしません!!」
「まぁ、可愛く啼いてくれればそれでいいけどね」

ちゅ・・・と総司の唇が千鶴の首筋をつたう。
そこに紅い華を咲かせながら、ゆっくりと下へと移動すればぴくりと千鶴の肩が跳ねた。
昔と変わらないその反応に笑みを浮かべながら、昔とは違うその服をゆっくりと脱がしながら、己もあの頃とは違う制服を脱ぎ捨てた。

「手加減とか、しないよ?」
「・・・・・・っ明日学校行ける程度でお願いします」


それは千鶴ちゃん次第じゃないかな?



再び笑みを浮かべた総司に、千鶴はひやりと汗を流した。














お、お待たせしました・・・(汗


っていうか・・・微裏?
・・・・・微裏?;;;
もっとやってもよかった・・・?とか思いながら、微裏と言い切る!!
そしてこれ学園要素薄っ!!
SSLではなく、転生学パロ微裏ということだったのでこんなんでどうでしょう・・・!!

そりゃ、明日千鶴ちゃんは学校休みですよ?(黙れ


蒼夜








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