駄文
□あなたが、好きです。4
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「あ〜・・・・さっきは大人気ないこといっちまったなぁと思ってよぉ・・・」
「あやまりに・・・きてくれたんですか?」
「まあ、そんなとこだ・・・悪かったな、お前の本気を勘違いだなんて言っちまって・・」
「・・もう、いいですよ。気にしてません」
本気だろうと、勘違いだろうと、あなたの負担になってることには変わりは無い。今まで通りそばにいてもいいと思ってくれるなら、僕はこの気持ちを捨てるしかない。
「・・・さっき思いっきり泣いたら、落ち着きました。ここに来る途中で、よく考えてみたんですけど、銀さんの言うとおり思い込みだったのかなって」
「・・・そうか・・・」
そう言った銀さんは、相変わらず視線は合わせてくれず、その上あからさまにホっとしていたのが見てとれた。
・・・・ムカツク・・・・・・
痛みすぎた胸は完全に麻痺して、今はただただ、腹がたった。
もうちょっと気ぃつかえやっ、こっちは傷つきやすいお年頃なんだぞっ!三十路間近なオッサンの毛のはえた心臓と違うんだからなっ!!
ばんっとテーブルに手をついて立ち上がると、さすがの銀さんも僕のほうを見た。
「僕、今日限りで万事屋やめさせてもらいますっ!お世話になりましたっ!でも、その前に一発殴らせてくださいっ!!」
「は?・・おいおい、お前なに言って・・」
テーブルにのりあげて、銀さんの胸倉をつかむ。
「・・・・・・」
「お〜い、新八くん?殴らないの?・・いや、殴られたくないけど・・っていうか、殴られる理由がわかんないだけど・・汗」
胸倉をつかんだまま動かない僕に、怪訝そうな顔をする銀さん。
「・・やっぱり、無理です。」
「・・・何がだよ」
胸倉をつかんだ手をやんわりと外されて、僕はその場に座り込んだ。
「僕の気持ちが銀さんの負担になるんなら、この気持ちを捨てようって・・・、でも、やっぱり、そう簡単にはいかなくて・・・・」
「・・・誰も捨てろなんて言ってねえだろうが」
あきれたように溜息をつく銀さんを僕はきっと睨んだ。
「じゃあっ、そんな顔しないでくださいっ!そんな嫌そうな・・・顔・・・・」
ポタリッ
あれ・・・・まだ、涙なんて残ってたんだ・・・・
意外と枯れないもんなんだなぁと・・・他人事のように思っていたら、ぐいっとひっぱられた。
「うわっ!」
僕はテーブルに、銀さんは畳に座っていたわけで、下からひっぱられた僕は案の定、銀さんの上に落ちた。
あわててどこうとしたらさらにひっぱられて、銀さんの胸に頭をかかえられる。
「しょうがねぇだろ、嫌なもんは嫌なんだからよぉ・・・」
「だったら、早く放してくださいっ」
「嫌だ」
何?なんなの?なに考えてんのこの人?嫌なら普通、放すでしょ?っていうか、抱きしめるなんて論外じゃん?
「・・・あんたが何考えてんのか、さっぱりわかりませんよ・・・」
でも、ずっとこのままでいたいと思ってしまっている僕は相当重症だ。
「・・・んだよ、まだ分かんねぇのかよ・・」
「マダオの考えなんて分かるわけないだろ・・・」
そう言ってやったら、さらにギュッと抱きしめられた。
「お前が好きなんだよ・・・他の誰にも渡したくねぇ・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?