高新部屋
□捜索者
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おはようございます。志村新八です。
今、朝の4時です。
ぶっちゃけ眠いです。
「お弁当はこれでよし。お茶の準備もOK。あとは・・・」
って、他にいらないか・・・ピクニックじゃあるまいし・・・
「あら、こんな朝早くにご機嫌ねぇ、新ちゃん」
ぎくっ
しまった、何か物音たてちゃったかな。姉上にちょっとでも疑われたらここから出られなくなるぞ・汗
僕は細心の注意を払って、姉上のほうへ振り返る。
「おはようございます。姉上。」
「おはよう。それお弁当ね。今日はピクニックにでもいくのかしら?」
そう言って姉上はにこっと笑った。姉上の笑顔には二通りある。つまり、裏か表か。黒か白か。天使か悪魔か・・・・
幸いなことに今の姉上の笑顔は白だった。
「はい。あ・・・すみません、姉上。昨日も遅くまで仕事だったのに起こしちゃって・・・」
最初の返事意外は、本当にそう思っていたので、愁傷な気持ちであやまったのだが、それが僕の嘘を上手く隠してくれたらしい。
姉上はそれ以上追求することなく『あら、気にしないでいいのよ。楽しんでらっしゃいな』と、僕を送り出してくれた。
よかった、思わぬ関門にならなくて・・・・・
ただでさえ、『高杉晋助の居場所を見つける』という大きな関門が待ち構えているのだ。ここで足止めをくっていたら、早起きした意味がない。
歌舞伎町全体が範囲内といっても、お尋ね者の高杉さんが隠れられるところは限られてくるはず、そういう場所を重点的に調べていけば9時までには間に合うだろう。
と、思ったのだが・・・
ところがどっこい。
僕の判断がものすごく甘かったと気づかされたのは、指定時間より3時間もすぎたころだった。