高新部屋

□捜索者
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「あ〜暑い〜〜〜。なんでこんなに暑いんだよっ!コンチクショー!昨日より暑いんじゃね?なにこれ、僕への嫌がらせ?!」


最初は、高杉さんがいそうなところを考えながら、橋の下とか、細い路地とかにもわざわざ入り込んでくまなく探していたのだが、今はもう、そんな場所をみかけてもちらりと視線を移す程度でやめてしまっていた。

だって、マジで暑いんだよっ!こんな暑くなるなんて思わなかったから帽子だって被ってないし!日射病寸前だぞ、どうしてくれるんだ、高杉晋助!


「そうだよ!だいたい、あの地図アバウトすぎんだよっ!あんなのでわかれってほうが無理じゃんっ!」

「っていうか、3日に指定しといて2日に手紙が届くってどうなんだよっ!」

「それ以前に『よろず屋のメガネ』って何だよ!最低限「〜へ」とか「さま」とか「どの」とか「宛て」とか!普通つけるだろ!?」


あ〜〜〜〜〜腹立つ。


腹立つ腹立つ腹立つっ!





すでに探す気ゼロの僕は、宛てもなくズンズンとただひたすら歩いた。





どれくらい歩いただろうか?

はっと気づくと、僕は広大な芝生のド真ん中にいた。

周りを見渡せば、家族連れや、カップルたちが楽しそうにピクニックをしている。少し離れた場所には、大きな木が転々と立っていて、そこで読書をしている人もいた。



疲れた・・・・僕も木陰で休もう・・・・



しかし、この炎天下の中考えることは皆同じようで、ほとんどの木が誰かしらに占領されていた。


どこか、空いてるところは・・・・あっ、あった!あそこは誰もいないみたいだ。



僕は見つけるなり、小走りでその木へと駆け寄った。とにかく涼みたかったのだ。



「うわぁ、すっごい涼しいぃ〜」

木陰に入っただけでこんなにも気温が違うものかと思いながら、ペタンと地面に腰を下ろした。木によりかかると一気に疲れを感じ、自然とまぶたが落ちる。







「おい、随分と遅かったじゃねぇか」






へ?




はっと目を開くと目の前には、ずっと探していた人物。


「た、高杉さんっ!?」


あまりの不意打ちに思わず声をはりあげてしまい(しまった!)と周りをみるが誰も気にしていない様子でほっと胸をなでおろした。


「なに驚いてんだ・・・俺がここにいることはわかってただろ?」


いや、そんな、さも当たり前みたいな顔されても・・・・あれ?昨日も似たようなことあったような・・・・まあ、いいや。


「いや、わかりませんって!あなたが指定した場所がどこだかわからなくて今の今までずっと探してて、ここに来たのはちょっと休憩しようと思っただけですから」


そう言うと高杉さんは無言で眉間に皺を寄せる。え?なに、僕が悪いの?あの地図でわからなかった僕のせいなの?


色々と腑に落ちないことはあったが、遅れたのは事実だから謝ろうと口を開いたら



「悪かった・・・あの地図しか手元になくてな・・」


と、先に謝られた。


ああああ謝られた!?


あの高杉晋助が僕に謝った!?


あっけにとられている僕をよそに、高杉さんは僕の隣に腰を下ろした。



「・・・なんか、臭うぞ」

「え・・・ああっ!!!」


高杉さんに指摘されてやっと重大なことに気づく。


9時には食べられるはずだったお弁当が今の今まで炎天下にさらされていたのである。


それはつまり・・・・・・






「腐ってんな・・・・」

「腐ってますね・・・・・」







どちらともなく盛大な溜息がもれた。






続く


はい、高杉さん。また食べられませんでした・笑(しかも全然隠れてねぇしっ)
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