駄文
□あなたが、好きです。2
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・・・すごく嫌そうな顔・・・・・
僕が顔を上げたのと銀さんがジャンプを持ち直したのがほぼ同時で、一瞬しか見えなかったけど、それは僕の脳裏にはっきりと刻まれてしまっていた。
しかも・・・
「新八ぃ。それはただの思いこみだ。ほら、あれだよ。恋に恋するお年頃ってやつだ。お前は恋愛に免疫がないからちょっとドキドキしたくらいで恋と勘違いしてんだよ。もう一回、落ち着いて考えてみな」
って、いつものふざけ口調で言われた。
なんだよ・・・それって、ようするに『今のは聞かなかったことにしてやるから、もう変なこと考えるな』ってこと?
まずい・・・泣きそうだ・・・・・
「・・そうですね・・・・あ・・・そうだ・・醤油きれてたんだっけ・・・・僕ちょっと買い物にいってきます。何かいるものありますか?」
声の振るえを抑えるために、やや小さい声でそう問いかけると、
「・・・いちご牛乳・・・」
と、銀さんもつぶやくように答えた。その表情はジャンプに隠れて見えない。ということは、裏を返せば僕の表情も銀さんにはわからないってことだ。
よかった・・・見られなくて・・・・・
ポタッ
「(やばっ、涙が)わ、わかりました。じゃあ、いってきますっ!」
「おう・・・」
我慢できずにこぼれた涙をあわててぬぐい玄関を飛び出した。
とりあえず銀さんから少しでも離れた場所にいきたくて、やみくもに走る。
走って
走って
走って・・・
たら、コケた・・・・
そのまま、仰向けに寝転がる。ここは土手だから、寝そべっていても変じゃないだろう。
「銀さんのバカヤロー!!!何が思い込みだっ!そんなふうに言うなら最初っからあんな質問すんなよっ!こっちは、コクる気なんて、これっぽっちも・・・・・」
大きな声はだんだん小さくなって・・・・
代わりに涙がとめどなく流れた。
このまま、銀さんへの思いも流れてしまえばいいと願いながら瞳を閉じれば、あの瞬間見た銀さんの顔が浮かんでくる。
もう、好きだなんて言わないから・・・・
この気持ちは、少しも残らず消して見せますから・・・・・
だから・・・・
「・・・そんな顔しないで下さ・・・・い・・」