駄文
□犬のおまわりさん
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☆犬のおまわりさん☆銀仔新
「まいごのまいごのこねこちゃん〜〜♪あなたのおうちはどこですかぁ♪」
此処のところ新八は、毎日、縁側に座って投げ出した足をブラブラさせながら楽しそうにこの歌を歌っていた。
その姿を目撃した姉、お妙はいささか驚いた表情で新八に歩み寄る。
「新ちゃん。その歌、嫌いっていってなかった?」
そう、新八はついこの間まで『犬のおまわりさん』が嫌いだった。
犬のおまわり・・・・制服をきた二本足で歩く犬。というイメージが、天人そのものだからだ。
新八のその怖がりようはハンパじゃなかった。自分で歌うのはもちろん、誰かが歌っているのを聞くだけで目に涙をためて姉にしがみつくほどである。
そんな新八はこの上なくかわいい。が、確実に増えるであろう天人の存在におびえて暮らすようにはなってほしくなかった。
だから、新八が克服してくれたのは喜ばしいことなのだが、あまりにも突然すぎる。お妙が疑問に思うのも無理はなかった。
「うん!でもねあねうえ。このおうたは、あまんとのことじゃないんだって!ぼくとぎんさんのうたなんだって!」
満面の笑顔を向ける弟につられて自分も笑顔をかえした。
「それ・・・『ぎんさん』がいったの?」
『ぎんさん』・・・坂田銀時。先日、迷子になった新八を送り届けてくれた青年だ。
「はいっ!!」
嬉しそうに返事をする弟とは反対に、なぜかお妙の顔はひきつりぎみだ。
「そう・・・じゃあ、もうその歌は怖くない?」
「はいっ、大好きになりましたぁっv」
「良かったわね、新ちゃん」
「うんっ!」
そして再び歌いだす新八の頭をひとなですると自分の部屋に戻っていった。
バンッと勢いよく襖を閉めると、薙刀を持ち出し素振りを始める。
「(ブンッ)私が新ちゃんの弱点を克服させようと思ってたのにっ!」
「(ブンッ)新ちゃんを抱っこしていいのは、父上と私だけなのにっ!!」
ブンッ!
ブンッ!
ブンッ!
ブチッ!(?)
「あのクソ天パァ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」
ドスッ!
「あら・・柱に穴が開いちゃった・・・腐ってたのかしら?」
お妙の言う柱というのは所謂「大黒柱」というやつで、一番丈夫でなければならない柱であり、それが本当に腐っていたとしたら今頃家は崩壊しているであろう。
そのことからもわかるように、お妙の銀時に対する嫉妬はすさまじいものだった。