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□unfaithful
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カカキバ(浮気性な先生!)



「あのポテチ、売ってなかったよ」



『unfaithful』



当たり前だ。期間限定ってのは、何ヶ月も待っちゃくれないんだよ。
4ヶ月と1週間。コンビニに行くって言うから、美味しいともっぱらの噂の、期間限定ポテチを頼んだが最後。それっきり、寝ても覚めても、帰ってはこなかった。あれから4ヶ月と1週間。季節はひとつと半分が通り過ぎた。

「そりゃ残念だったね」

ほんの少しの文句と一緒に、当たり前のように俺の膝を枕にして寝転んで、点いていようが、いまいが、支障の無い位につまらないテレビを、わざわざ消してまでキスを求めるもんだから、息が苦しくなるまで、これでもかって程にキスをする。少し伸びた髪をぐじゃぐじゃに掻きまわして、鼻に軽く歯を立てて、カカシが困ったように笑いながら、もういいよ、を言うまで、うんとうんとうんと、甘やかす。それから少し遅れての、おかえり、を言う。

「寂しくさせてごめんね、」

キバくん。なんて頬を撫で回す指に唇を押し当てるから、何処まで行ってたの、あのポテチはもう食べちゃったよ、あんまり美味しくなかったよ、好きなんだけど、すごくすごく愛してるよ、なんて言葉を考えるのも、口にするのも億劫で、どうでもよく思えて、情けないくらいのピンク色になってしまう。そしたら今度は、押し当てた唇が、耳を這って、頬を撫で回して、舐め回して、首筋を噛んで、俺を、うんとうんとうんと、甘やかすんだ。
被さって、重なり合って、ぐちゃぐちゃに混ざって、どろどろに溶けて、すべてのことが曖昧になるまで甘やかすんだ。
寂しい、なんて言わない。泣きたいくらいに寂しくて、訳が分んないくらいに寂しくて、寂しくくて、愛おしくて、寂しくて、憎くて、愛してても、言わない。気まぐれた好きで俺を撫で回す、あの少女を愛した指に、きつく歯を立てる。明日にでも、あの少女に、この噛み跡を追求されればいい。ほらほら、そんな困った顔してないで、ただいまくらい、言ったら良いのに。











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