番外編

□soundless voice
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それはカレンダーを9月に変えて、まだ間もない頃だった


「綱吉……あの…あのね?」

「なに?」

「誕生日……予定ある?その…愛人…と」

「誕生日?……いや、特に無いけど」

「ホント!?じ、じゃあ……言いたい事があるから……えっと…」

「分かったよ。13時頃にいつもの喫茶店で待ち合わせでいい?」

「うん!!」


顔を真っ赤にしながら視線を泳がせていた織から目的の内容を聞き出し、更には1ヶ月後の約束を取り付ける事に成功した綱吉は卓上カレンダーを一枚めくり、14日に《織》とだけ書き込んでページを9月に戻した












綱吉と織が互いに愛し合ってる事は中学からの友人や仲間、ボンゴレの殆ど全員が知っている事実である。ボンゴレの中に《ご隠居》と呼ばれ嘗ての継承候補者だった者達の生き残りや引退した門外顧問リーダー等ボンゴレの中でも権力がある者の組織が存在し、彼等でさえ綱吉と織の関係に口出ししないのには織と中学時代に交わした約束が関係していた


“神の選んだ人間は最強であるべし”


ボンゴレ10代目、つまり沢田綱吉がボスを継承するまでの間織が不敗を貫き通し、更に後継者である綱吉の命を護りきる事が出来たならご隠居達は何も口出しする事は無い


当然隼人達他の守護者も協力すると名乗りを上げたがニコッと笑った織に断られてしまい、“自分の力で認めて貰えないなら綱吉の傍に居る資格は無い”と言われれば引き下がるしか無かった
あの頃から綱吉は継承式を済ませてはいないものの他に継承者が居ない事で正式な継承者として認められイタリアからの暗殺者に度々命を狙われていた


「織……無理しないでいいんだよ…?」

「俺無理してるように見える?」

「……見えないけど…」

「なら大丈夫だよ。さぁ、学校行っておいで。じゃないと俺が動けないだろ」

「……うん…行って来ます」


織は綱吉が移動した道を“5分後”に歩いて回り、1週間前まで狙われ続けていた綱吉は何故だか分からないが一度も暗殺者が来る事は無く、織に尋ねてもニコッと笑っただけで何も言わず今日も“5分後”に綱吉が歩いた道を辿る


継承式後も変わらず織はずっと綱吉の傍に居るものだと誰もが信じ続けていた














「織…………織、何故だよ……織!!」









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