世界に零れた月の雫

□前章
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46億年もの昔に創造された、自らの住む惑星を地球と呼ぶ人間によって月と名付けられた衛星、、この天体の内部、、

月が、何者かによって造られた非天然の天体だという事実は、割とよく知られている俗説だ。
月の内部には、『LU.LU(ルル)』と呼ばれる人型の生命体を産み出す施設が存在していた。

ある程度の資質を持った人間をベースに産み出されるそれは、戦う為の生体兵器、
兵器と言っても、感情や心は持っている。それ無しでは生命体として、破綻を来す事を、創造者は良く知る故に。


任務に忠実に
その為にはある程度の感情は削らなければならない。
しかし、ある程度以上の大部分は教育次第なのだ。
感情を持つが故に、計算以上の力を発揮する事を想定、その研究の末に誕生したLU.LU.S(ルルス)


しかし、月と地上を往復するよりは、現地調達した方が、創造にも実験にも都合がいい、
故に、長く続いた月の歴史に、終止符が打たれる。
それはかつて、紀元前6億5千万年以上も昔の恐竜絶滅に匹敵するほどの、地球上の生命が、大きな変革を迎える大災害を連れだって訪れたのだ。





西暦2072年、5月15日、午後に入ろうかという頃に、月<それ>は地上に落ちた。
世界的な戦争が起き、拡大しようとしていた矢先の出来事。



後に、『月という包帯に包まれた』、という皮肉から、
Luna vinctura(ルーナ・ウィンクトゥラ)と呼ばれる事になる大災害により、[地球上]の生物が1/20程までに激減、

通常、月がそのまま地上に落ちれば、地球のあらゆる生き物が住めない状態となる……が、しかし、

あろうことか、月は大気圏を過ぎた辺りで、減速し、形を崩し始めた。これにより、僅かながら生き残った者達は、生き地獄を見る事になった。



文字通りに空中分解され、月と呼ばれたそれは、大半が地表に降り、残りは空に浮かび、大陸のような物を形成していった。

また、月の落下が引き起こしたのは、それだけに留まらず、、2000年代より、世界平均 3℃下がっていた地表の温度が、さらに、世界平均、6℃も下げる事も引き起こしたのだ。



月が落ちた影響で、電子による情報網が寸断し、国としての体を成せない国が増え、国という境は少しずつ、[国があった地区]といった境に変わっていった。


月が地上に落ちて1年余りが過ぎて尚、復旧の見込みすら起たない状況に待っていたのは、更なる追い討ち。

セデムターと呼ばれる[化け物]が各地に出没し始め、情報のやりとりは更に困難になった。これにより僅かに残る国としての境も、ほぼ無き物となったのだ。

取り分け、ユーラシア大陸の中央・東地区、オーストラリア地区・北アヌリカ(旧北米大陸)北地区・西南地区は、セデムター<化け物>の巣窟とまで呼ばれ、激減した人口は、更に減っていく事になる。


世界に、統一軍と呼ばれる組織が少しずつ浸透し始めたのも丁度この頃で、人の住む世界を守り、以前のように人の世界を広げていこう、という彼らは、大災害による被害に対して、支援・救助を世界的規模で行い続けている。


リーダーシップを執っていたのは、Luna vinctura以前の国連加盟国にして、その中で唯一生き残っていた首脳、北アマリカ東中央地区の代表、…旧アメリカ大統領、ハッカン=ジョーンズだったが、その実質的な権限は、統一軍の上級大将にして、LU.LU.Sを創造・使役する統一軍の裏組織・CREARE'S(クレアレス)の総統<マスター>・セリュール=デルニエが握っていた。






長い長い断章を経て、ここから、

―物語の続きが紡がれる―






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