朱の烙印ーA cinnabar red brandー

□Shadow of the departed soulー亡霊の影ー
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体育館に全員が集まる。
当たり前だが皆、落ち着きがない。


次第に殺された女生徒の噂話が広がる。
“優しくて素直な子だった”
“親切でいつも笑顔だった”
“暴力を振るう彼氏がいた”
“特定の女子を虐めていた”
口々に言っていた。

死人に口無しとは悲しい事だと思う。
事実、偽りを飲み込まないといけない。
黒い部分が目立ってしまう。

――そんな事は、どうでもいい。

この状況は良くも悪くもある。


「…………誰だ……?」


高い確率で、犯人が同じ空間にいる。


「オヤジ……っ」


怒りと恐怖が入り混じる。
と、誰かが言った。


「姫路が殺したんじゃね?」
「だよな、見掛けもアレだし……」
「第一発見者ってのも怪しいよ」


ざけんな。
オレじゃない、やるもんか!

言った奴らを目で探す。
と、目が合った奴らがいた。
野嶋サラ・玉子モトキ・・岩田ミドリ・砂井野キノ・川田ハツリ・北井レンナだった。


「見るな……」


嘲笑ってるわけじゃない。
皆が恐怖を隠せていないだけ。
恐怖心が不安を煽り立ててるだけ……

じゃあ――
コイツ等は信じられんのか?



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