朱の烙印ーA cinnabar red brandー
□Butterfly of the noonー真昼の蝶ー
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オレは一人、裏庭にやってきた。
花壇にはレンナ先輩の代わりに不格好に埋められた花があった。
土には血が混じっている。
震える体を落ち着かせながら、その場に屈む。
「レンナ先輩……」
手を合わせて冥福を祈る――
「……姫路くん、見付けた」
「って、お前……まだ汚れた服着てんのかよ」
ブレザーを野嶋に渡す。
「やだなー、寒いわけじゃないのに」
「あ、そっか」
ブレザーを引っ込めようとすると、野嶋に腕を掴まれる。
「いらないとは言ってないもん」
そう言って、野嶋はブレザーを嬉しそうに羽織った。
「姫路くんの匂いだ……」
「香水とか付けてねェけど」
「そういう意味じゃないよ」
「じゃあ、何だよ」
野嶋は嬉しそうに笑うだけで答えない。
「おい、お前達!そこは立ち入り禁止だ」
2階から先生が顔を出す。
「それに体育館から便所以外は出るなと言われ――」
「もう戻りますし」
オレはもう一度、手を合わせて裏庭を後にした。
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