会長はメイド様!

□ずっと...
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放課後の見廻りの時間、今日は試験前ということもあり、いつもより人が少ない




問題を起こすような生徒も少ないのか、見廻りも後少しで終了する






「やべぇまぢこれ今来てるぜ」
「何か学校で見るからこそ余計に....っ」


そんな中2-3の教室からヒソヒソと馬鹿共の声が聞こえた
またくだらない悪さでもしでかしているんだろう




ガラッ




「お前ら、何をやっているんだ?下校時刻はとっくに過ぎて.......」



いるんだ、という言葉が出てこなかった。
私は今奴等がみていたテレビに釘付けになっている.....



テレビから音はしていない。男子がイヤホンをテレビに差し、2人で聞いているからだ....




「おっおい!!今のうちに早く逃げるぞ!!」
「おう!!」

2人が慌てて傍にあった荷物を取り逃げるようにと教室を去って行った



イヤホンがテレビから外れて音が流れる.....



゛キャーっ!!!!゛

「っ!!」


主人公たちが学校を歩き、突然背後から現れた幽霊に叫び声をあげる...

私は思わず声にならない声をあげた



「何で学校でこんなもん観てるんだあの馬鹿共はっ!!」


画面上の幽霊はどこまでも主人公たちに迫ってくる....



パッと変わる画面...

主人公の仲間であろう人物が、たった一人はぐれてしまっていたらしい...

目にはうっすら涙を浮かべて仲間の姿を探している








コツ










コツ







コツ



コツ




近づいてくる足音に、仲間だと思い駆け寄る。



しかし廊下を曲がった先をみても誰も居ない


゛....小林?.........鈴木?゛

仲間の名前を呼ぶ少年...


返事はなぃ



゛たな....゛

゛一人ニナッタ子ダーレダ...゛


少年の背後に立つ長い髪の女...

ボロボロの制服を着て腕は血だらけ....


゛ミーツケタ...゛


オマケに目は片方ないときた...


゛ギャーっ!!゛
「..っや!!」

テレビの少年の叫び声と共に私も恐怖で声をあげた



ガタッ




腰が抜けてヘタリと床に座る




嫌だ





見たくない





聞きたくない







電源を切れば良いのだがその為には画面に近付かなくてはいけなくて....



私は床にへたりこんだまま耳を塞いでぎゅっと目を固く閉じた








「..............」




何だか人の気配がする



誰かが私の頭をぽんぽんと撫でた



「やっ!!」

心臓が一瞬大きく止まった



今から考えると何が怖かったのか分からないが、独りでビクビクしていた私には、私の頭を撫でる温かい手も幽霊の仕業に思えて思わず拒絶したのだ




叫び声と共に顔をあげると意外な人物の姿が見える







「何だょ、碓氷か......」


心臓はまだドキドキしている


それどころか情けないことに涙までうっすら浮かんでいる


「鮎沢......大丈夫?」

碓氷は私と目線を合わせるようしゃがみながら声をかけた


視線が優しい......

碓氷の手が私の頬にスッと伸び涙を拭う


「...........」

「教室から何か物音はするしテレビの音がするから何かと思ってきたら.......。お化け怖いのに何してんのさ」


ふとテレビをみるとさっきまではホラー映画を映し出していた画面は消えていた




「あ......」

「近づくのも怖くて消せなかったんでしょ?」

優しく言った碓氷の言葉が図星だったので俯いた。


「......全く、仕方ないなぁ....」


碓氷の手が私の背中に回る






ぎゅっ







力強く、優しい腕の中にすっぽりと包まれた......



「ぅす.....」

碓氷の行動に驚いて名前を呼んでみると、ぎゅっとまた腕に力が込められた....



「........ごめんね、怖い思いさせて...」

「..........?」


碓氷はその時一緒に居なかったのだから当たり前だろうと思った


碓氷が今こうしてここに居てくれて、碓氷の腕に包まれて......今言葉も出ないくらいの安心感でいっぱいだ




「.....俺がもっと鮎沢についてれば良かったね」


「.......馬鹿....」

ポツリと呟く碓氷がちょっと可愛く思えて、クスッと笑みが溢れた










......ん?








可愛い???













..............碓氷が?
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