会長はメイド様!

□ヤキモチ...
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...あれは碓氷か?


廊下の窓から中庭を歩いている碓氷を見て、自分の目を疑った


いつもの自分が知っている碓氷ではない...

碓氷の隣には女の子が幸せそうに歩いていて、碓氷自身もまた穏やかに微笑んで歩いている...


その雰囲気が仲の良い恋人同士のようで、美咲は頭がふらつき床に座り込みそうになった



(嫌だ..見たくない)

気が付くと生徒会室に駆け込んでいた自分がいる


「会長!?どうかしたんですか!!?」
私は真っ直ぐに自分の机に向かいうつ伏せになったが、今にも泣き出しそうな私を見て幸村が心配そうに声をあげた


「大丈夫だ....ちょっと疲れたらしい」
幸村と他の皆に心配をかけないようそう発言したが、声にいつもの元気は出ない


「ですが...」
「俺、放送委員と打ち合わせがあったんだった」
「あっ会計報告確認しなきゃ!!」
「あ〜、俺他にやることあるんだった...」
「今日中に野球部と大会の件確認しなきゃだ!!」
「えっ?皆さん...?」
「ほらっお前も行くぞ幸村!!」
「ですが会長が....」
「「行くぞ!!」」
幸村が弱々しく私に声をかけようとしていたが、他の生徒会の面々が次々と席を立ち言葉打ち消す

(気を利かせてくれたのか...)


すまない、と思いつつも今は確かに一人になりたかった...

静かになった教室でまたさっきの碓氷を思い出す

(碓氷はああいう女子が好みなのか...?)

自分とは明らかに違うタイプな子だった

穏やかで優しそうで女の子らしい...小柄で守ってあげなきゃ、という子か....



そんな事を考えるとまた虚しくなる

結局私に付きまとっていたのはただからかうのに丁度良かったからなんだ..


本当は居なくなって清々するはずなのに、この空虚感はなんだ?


(全く何なんだ私は!)

不甲斐ない自分に腹こそ立つものの、今自分の隣に碓氷が居ないことが哀しくて一筋の涙が頬を伝う....


(えっ....?)

涙など流した自分に驚いた


(何で涙が.....?)


というか、何故私はこんなにもショックを受けているのだ?
ただ碓氷が女子と歩いていただけじゃないか....
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