会長はメイド様!

□えぇっと...
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.....どうしてこんなことになってるんだっけ...


いつもとは違う香りの布団にくるまれ、俺は軽く溜め息をつく


―鮎沢の香りがする布団....

いや、安心するんだけどね? その香り自体は


何でこんなに落ち着かないかというと...


「碓氷くん、体調はどんなかしら?お粥食べられそう?」
ニッコリと微笑んで話しかけてくる黒髪の女性


「...お陰様でだいぶ良くなりました。」
まだ頭はボーッとするけど笑顔を作って返す


...美奈子さんに


「何が良くなっただ。まだまだ全然じゃないか..」
鮎沢(美咲)が俺の顔を見るなり呆れたように呟く

「..........」

「あっ、私が居たら碓氷くん落ち着かないわよね!!」
気が付かなくてごめんなさい、と笑いパタパタと慌てて美奈子さんが下へと降りる

「あ、いえ...」
そんなこと...あるけど。 建前上否定しようと思った頃にはもう美奈子さんの姿はない


「...お前はもう少し休め。私は今日鈴奈の部屋で寝るから」

頭を掻きながらそう言って、鮎沢は部屋を出ていった


―パタン


鮎沢が部屋を出たのを見て、俺は深く溜め息を吐いた


......ゆっくり落ち着いて休めるハズがない


まさか鮎沢の家にお邪魔することになるとは...いくら俺でもこの展開は全く予想しなかったよ


仰向きのまま額に手をあて今までの事を振り返る



学校を出てタクシーに乗って...
着いたら鮎沢の家の前で、
鮎沢に無理矢理連れ込まれて...
玄関に入ったら鮎沢のお母さんが出てきて.....



――――――

「あ、碓氷くん制服じゃ寝にくいでしょう?」

「え?いえ、別に大..」
「これ、良かったら使ってvお古で申し訳ないけど...」

「(そ、それ出てったっていう父親のですか..?)....ありがとうございます。」

鮎沢の母親の好意を無下にも出来ず、両手で出されたTシャツとジャージを受け取った

「布団は私のを使ってくれ。2階まで歩けるか?」

「.....うん」

苦笑いとしか言いようがない。
熱を出して学校で倒れたのが原因なんだけど.....俺はまだ今の現状についていけなかった



――――――

鮎沢の部屋で着替えさせてもらい、ベッドに横になって今に至る....

「この状況は不味いよね...」

まさかこんな風に彼女の家にまた来るなんて....

もう開き直って寝るしかない


そう思って鮎沢の部屋が映っている瞳を閉じて黒の世界を迎えた...
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