会長はメイド様!

□もしもキミが...
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「挨拶が遅れてごめんなさい。貴方が新しく入った子ね?」

メイド長のさつきさんが掃除をしている私に話しかけてきた
私は2日前からこの城でメイドとして雇われた新人メイドだ..

「はい、鮎沢美咲です。宜しくお願い致します。」

掃除の手を止め、さつきさんの方を振り返り一礼をする。

「......あの、私の顔に何か?」
私の顔を目を潤ませジッと見つめる彼女に、私は何かと思い声をかけた


「あっいえ。何でもないのよ?宜しくね、美咲ちゃん」
愛想の良い笑顔でニッコリと微笑むさつきさんは優しそうで、私も安心したように微笑む..


「遅くなっちゃったけど、私たちの仕事について説明するわね♪」
「お願いします」
掃除道具を片付け、さつきさんの案内のもと別室へと移動した


「基本的な仕事は掃除や洗濯。後は王子様の身の回りのお世話などをするの」
部屋に入って椅子を勧められ座り、さつきさんの話を聞く

「一番人気なのはお世話係ね。王子のお側に居られるから、大人気なのよ♪」

「私はお世話係はちょっと....」

男嫌いということも あり、慎んで辞退する

「あら、そう...残念ね。」
何が残念なのかよく分からなかったが、申し訳ありませんと相槌を打つ

「お世話係は滅多に空きがないので、良い機会だと思ったのよ...」
シュン、とさつきさんが目を伏せる

「変にミーハーな子がお世話係についても王子様のお邪魔になるし.....美咲ちゃんみたいに王子に興味がない子ぢゃないとつかせられなくて......ね?」

ニッコリと私に笑いかけるその顔からは、ある意味直接言われるよりも効力があった

「.........お世話係、ですか?」

恐る恐る目の前にいるさつきさんに尋ねてみた

どうか違いますように―・・・


しかし私の願いは無惨に散ることとなる


「そう、宜しくね♪」

相変わらずニッコリと微笑む姿に反論出来るわけもなく...

「はぃ.....」
と了承してしまったのである
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