-殺戮衝動-
□The start
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「…日本各所で起きている連続殺人事件の犯人が今朝、東京都内にいることがわかりました。犯人は日本国内全都道府県にかけて逃走を続け、15年間に渡り老若男女問わず殺害したとして全国に指名手配されている榊原 仁」
…また、このニュースか。
もう聞き飽きた、とでも言わんばかりにTVの電源をリモコンで切った僕は、溜め息をつきながら朝食のトーストを流し込むのに作ったコーヒーを飲み干した。
僕の名前は榊原 悠。
日本全国で辻切りのように見掛けた人を片っ端から殺している、今話題の連続殺人鬼…榊原 仁の弟だ。
…だからと言って別に、兄は人殺しをする人じゃないとか、庇い立てするつもりはない。目の前で親を殺されている僕に取って、あの兄…榊原 仁は異常な殺人鬼。
もうあの人が何人殺したのか…百…いや、下手をしたら二、三百人は犠牲になっているだろう。
「……っ」
急激に頭の中へと鮮明に描かれていく、赤、紅、朱、アカ。
記憶の奥底に押し込んで置いたはずのあの光景が…まるで同じ体験をもう一度しているかのように、ハッキリと、音や匂い、感じた恐怖に至る細部までをも再現した映像が脳内に投影される。