□酒味チッス。
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嗚呼、酒くせぇ。

「足立さん、足立さん。起きて下さい。」

俺が今揺すり起こそうとしているこの男。

足立透は他人の家の居間を一人で占拠し、
なおかつ大の字でグースか寝れる奴だとは今日初めてしりました。
チャンチャン…。

だから、

「いい加減起きろ、この酔いどれ刑事。」

先に寝ている菜々子と叔父さんを起こすまいと、足立さんの耳に口を近づけて大きくなりすぎない程の大声を出した。

のだが。

「…うぅ、うへっ。」

と結構鼓膜に響いたはずなのだが、当の本人はにやつきながら寝返りをうっている。

ハッキリいって気持ち悪い。

「ったく、なんでこんな事に…。」

まぁ、足立さんと叔父さんの酒盛りで酔いつぶれた本人達を片すのは毎回俺の仕事…になっているからなのだが。

「こんなど真ん中に寝られちゃ、邪魔なんだけど。」

はぁ。っとため息を吐き仕方なしと、他人ん家でぐっすり寝こける刑事を肩に背負う。

「うっ、重ぃ。」

そこはやはり大人の体重で有るわけで、
いくら高二といえど酔いつぶれて筋肉ゆるゆるな体を支えるのには一苦労だった。

気をつかう必要がないのでそのままズルズルと
足を引きづりながら客間にさっき敷いといた布団へへと連行する。

普通立場逆なんじゃないかという疑問は無い。

普通なんてこの男にはあって無いようなモノなのだ。

「うぅ、にしても酒臭い。」

机は今さっき片ずけたおかげで、
酒盛りの面影など微塵も感じられないくらいに綺麗になってはいるが。

匂いまではどうにもならない。

「…ファブ●ーズでも買ってくるか。」

そして足立さんに嫌というほどプッシュしまくる。

その時の反応を想像しただけでも、顔がにやけた。

「何にやけてんの?」

「えっ?…うわ。」

急に真横から声が聞こえあまりの驚きに肩の力が抜けてしまい、重りがずり落ちた。

「ぁぃってぇー。」

それと同時にさっき声が聞こえた場所より下の方で情けない声が聞こえる。

「足立さん、いつから起きてたんですか。」

黒坂が声の出所をジロりと見下ろすと、
だらしない猫背をさらに曲げて足立は頭を掻いていた。

「ちょ、そんな目かっ開いて…恐っ。」

まだアルコールが抜けないのか少々呂律が回っていない。

「一体いつ起きられたんですか?」

そんなに怖いのならと、今度は善がこもってない笑顔で問う。

それに気づいたのか足立は背筋を震わせ、また猫背になりながら答えた。
「う〜ん、酔いどれ刑事…くらいからかなぁ。」

それってほとんど最初からじゃないか。

「…この狸寝入り刑事め。」

黒坂はありったけの蔑みを込めて足立を睨みつけた。

「あは、いーじゃん。黒坂君の背中の触り心地良かったよ。」

「気持ち悪い。」

「え、酷っ。」

「それより足立さん、起きたんなら自分の家に帰るか、帰らないんなら、客間まで…這いずれ。」

「這いずれって…しかも最後、命令形だし。」

足立はあと数十センチ先にある客間とを交互に見返した後、

「嫌、連れって。」

と口を尖らせた。


お前は彼氏がデートに連れってくれない女子高生か。

「俺は足立さんの彼氏じゃないです。」

「じゃぁ…なってよ。」

「………は?」

苛立ちと怒りが一気に引いた音がした。
変わりに困惑とめまいが急性に増えていく。


今何て言った?
彼氏?
俺が、足立さんの?

何言ってんのこの人。
キャベツの食べ過ぎで脳みそ緑色にでもなっちゃったんじゃないか。

「俺、男ですけど。」

「だから彼氏なんじゃん。黒坂君、国語苦手?

そんなことをいってんじゃない、
嫌な言い方しか出来ないのか、この男は。
全くむかつく。

「で、どうなの。」
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