□【足裏で受け止める…。】(*)
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【足裏で受け止めようか?】


目の前には愛しい彼の
愛らしい御足…。

「牧野さん。」

「だっ駄目です…何が何でも今日は駄目ですからね!」

「…。」

いつもの牧野さんらしからぬ強い口調での拒絶。

はっきりいって少々むかついた。

ことの始まりは数十っ分とかからない前のことだ。

今日は病院での仕事が早めに終わり、
いそいで車をまわした。
行き先はもちろん愛しい兄の待つ不入谷教会…。

正直毎日会いたい位なのだが
両方の都合上毎日はさすがに
無理がある
週に二回会えればいいほうだった。

そして今日は数少ない
牧野さんとの逢い引き日である。

牧野さんを彼の寝室に連れて
すっかり使い慣れたベッドに下ろし
服に手をかけたまではよかった、
服を脱がせ彼の愛らしい小さな足に纏わり付く黒い纏足靴を
脱がせようとすると

いきなり牧野さんは抵抗し始めたのだ。

そして話は序盤に戻る…、


「どうして駄目なんですか。」

いらついた心中を表す様に
牧野さんの足を靴の上から少しだが強く握ると
ぐっ、と牧野さんが呻いた。

「痛っ、宮田さん…やめて下さい痛い、です。」

上半身を起こして宮田の手を退けようとするが逆に肩を捕まれベッドに押し付けられた。

「では何故拒否するのか、理由を述べて下さい。」

牧野は頭上にある宮田の目が
ギラギラと光っている様に見え、びくびく捕まれた肩を震えさせた。
宮田さん怒ってる…?

「あっ、拒否…とかではなくて、あの…その今日は靴を脱ぎたくないので…。」

「…?」

牧野の纏足は三歳になった彼に教会が
特にあの求導女が
のちにある儀式からの責任から逃げられない様にと
無理矢理施したものだ。

それは宮田にとって
許しがたい行為だったが
当の本人がそれで良いというのだから仕方なく
宮田は何も言わないでいる。


宮田が牧野と繋がるように
なって会うたび行為に及んでいるが今日のような牧野は始めてだった。

「今日は靴を履いていたいんです…。」

「…足に何か不具合でも!?」

「あっいえ、そうじゃなくて。」
「では…。」

「あの今日は包帯を巻かないまま靴を履いてしまったので…臭いが…。」

恥ずかしそうに内股を合わせ
俯く牧野に宮田は軽く眩暈を感じた。

「全く貴方って人は、…そんな下らない。」

「くっ、下らなくなんてないですよ!!」
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