NOVEL

□第九章 作成中
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エリス「なんでよ…」

アキト「俺らがみたのは…」

二人は戸惑いを隠せなかった。
大きな煙をあげたはずの町が全く損傷していないなんて。
むしろ、賑わいを見せているなんて。

何があったのかわからなかった。
二人は恐る恐る歩きだした。
沢山の人。
開かれている商店。
駆け回る子供たち。
全てがあの光景を思わせない。

エリス「なんで、こんなことが?…」

アキト「もしかして、俺らが見たのは違ったのか?」

そんなはずはない。と勢いよく振り返り言った。

アキト「あ!エリス、危ない!」

振り返った勢いでエリスの後ろにいた男性とぶつかった。
…はずだった。

アキト「嘘、だろ…?」

エリス「え…」

エリスが男性の体を通り抜けた。
男性はエリスとアキトに気が付きもせず、そのまま歩いていった。

アキト「なんで、体…」

エリス「…臭い」

アキト「え?な、なにが?」

エリスが呟いた一言に慌て出す。

エリス「ばか。別にアンタのことじゃないわよ。幻術臭いの」

アキト「幻術?」

素直に問うた。
あまりに聞きなれない単語だったので。

エリス「この町、確かにあの煙のあがってた町よ。間違いないわ」

そう言って、すいーっと町の中心の方へ飛んでいく。
アキトは走って追いかけ、止まったのは町の広場だった。

エリス「誰かが町が無くなったショックで幻術をかけてるのね…」

アキト「あの…俺、状況があんまり呑み込めてないんだけど…」

あと、急に動かないでください。と付け加えて言う。
エリスはアキトに向かい、説明を始める。

エリス「今の町の風景は幻覚よ。だから、あの男性とぶつからなかったの」

アキト「て、ことは全部幻?」

エリス「うん、そういうこと。まあ、私の推測だけど…」

説明を受け、なんとなく今の状況を理解したところで町を見渡す。

笑い声や、子供をしかる母親の声。
商店のおじさんの声。
そこにいる人さえ、とてもリアルだ。
信じられないくらいに。
でも、あの男性はエリスとぶつからなかった。
そういうことを考えると、信じられる。

アキト「じゃあ、この幻を作ってる人がどこかにいるのか?」

エリス「多分ね。確信はないけれど」

二人は周りを見回しながら言う。

アキト「仕方ない、この幻作ってる犯人見つけるようか」

エリス「そうね…そいつがおかしくなる前に…」

アキト「え?エリスなんて?」

エリス「聞こえてないのならそれでいいの」

エリスの言葉の最後が聞こえず、聞き返したアキトにエリスは答えなかった。
微かには聞こえた。
けれど、それ以上のことを追求はできなかった。
エリスが少し辛そうな顔をしていたようにっ見えたから。






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