NOVEL

□第一章 the beginning
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――きろ。…ぃ、起きろ!!


「っは!?」

バコッ!

「ってぇ〜!」

「くぉら、雛空!!授業中だ、起きんか!」


あはは、くすくすっ

空気の乾いた教室に、笑い声が響く。


アキト「すいませんでした…」


この少年は雛空 暁斗。
単なる平凡な中学生だ。






「ホント馬鹿だよね、アンタ」

アキト「うるせェよ、快璃には関係無ェだろ!?」

カイリ「関係無くても見てなきゃ」

アキト「はぁ?」

カイリ「だって暁斗ママに頼まれてるし」

アキト「頼まなくて良いのに…」

カイリ「私だって見たくて見てんじゃないってば!!ねぇ、孝弥?」

タカヤ「そうだな、暁斗を見たくて見るヤツなんかいないだろ」

アキト「なっ!?孝弥まで酷ェぞ!」

カイリ「暁斗を見てるヤツは凄い物好きよ」

アキト「快璃に言われたくねェ!」



今、オレが話してる、
ショートカットの見るからに元気な少女、神前 快璃。
メガネをかけていて頭の良さそうな(実際に秀才なのだが…)少年、櫻田 孝弥。
二人ともオレの幼なじみだ。



タカヤ「で、今日は何の夢を見てたんだ?」

カイリ「凄い笑ってたよね」

アキト「今日はな……」



オレは寝れば必ず夢を見る。

自分以外の人に乗り移ったような夢。




アキト「今日は異世界行ったぜ」

カイリ「異世界ってアニメとかゲームみたいな?」

アキト「あぁ。オレ、勇者だったんだ」

アキトは自分の夢の話を楽しそうにする。

タカヤ「ははっ、暁斗らしいな」

カイリ「暁斗が勇者ぁ?」

アキト「何だよ、文句あんのか?」

カイリ「無いよ?でも…」

タカヤ「でも?」

カイリ「暁斗みたいな勇者には助けて欲しく無いなって」

アキト「んだとコラァ!?」




よくケンカもするけど、
かけがえない大切なヤツら。










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