短編小説

□寂しいからこそ
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「死んでみようかな…」
 
 
ふとそんな言葉が口から漏れていた。
 
自分以外誰もいないこの部屋に漏れた言葉は、静かに吸い込まれて消えていく
 
 
 
 
………はずだった
 
 
 
スパーンッと良い音がしていきなり襖が開いた。
 
突然のことにビクッと身体を震わせて、恐る恐る襖の方に振り返ると
 
 
 
いつも不機嫌そうな
 
 
 
愛しいあなたがそこにいた 
 
「許さぬぞ」
 
 
何をですか?なんてそんな言葉は失礼すぎる。
 
 
貴方が言いたいのは「駒が勝手に死ぬなど許さない」でしょう?
 
 
 
でもあえてその話には触れません。
 
 
触れてあげません
 
 
「盗み聞きですか?」
 
 
そう聞き返せば「ぐっ…」と情けない声をだして、視線が泳いでしまっている。
 
 
こんな元就様を見るのは初めてで、思わず笑みが零れてしまう。
 
 
それを見た元就様は
 
 
「何がおかしい」
 
 
と、さも不機嫌そうに眉間に寄っているシワをさらに増やし、ズカズカと部屋に入ってきた
 
 
「いえ…なんでも」
 
 
それでもまだクスクス笑っている私を見て元就様はため息を一つつくと、先程とは違う真剣な表情で
 
 
「先程の言葉は真か?」
 
 
じっと、私を見ながらそう言った。
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