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□こんな日くらい
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「38度・・・下がらないね。」
久しぶりにアーサーの家に訪ねてみると、彼はふらふらで出迎えた。
最初は大丈夫だ、の一点張りだったけど、紅茶を淹れに行こうとしたときに倒れ、今はベッドの上というわけです。
「今回のは随分酷いね・・・。」
「全くだ…。ったく、アルフレッドのやつ・・・。」
「しょうがないよ。彼だって好きでやったわけじゃないわ。」
「どうだがな・・・げほっげほっ。」
今回の風邪は“世界恐慌”
アルがきっかけで起こってしまったため、先日世界会議を開いて打開策を話し合ってきたのだが、今回も進展なしだったらしい。
「とにかく、落ち着くまで仕事は私ができる限りやっておくから。
とりあえず、ご飯作って、薬飲まなきゃね。」
そう言ってキッチンへ向かおうとしたとき、腕に熱い感触。
それは掛け布団から出したアーサーの手だった。
「どこ、行くんだよ。」
「キッチン。なにか食べないと薬飲めないでしょ?菊さんから習ったおかゆつくってあげる。」
「・・・くなよ。」
「え?」
「行くなよ、って言ったんだ、バカ。」
「・・ぷっ。分かったわ。」
ベッドのそばに椅子を寄せて、そこに腰掛ける。
腕を離したと思ったら手を握ってくる始末。
「どこにも行かないよ。」
「どうだかな。」
「そんなに心配?」
「・・・・悪いかよ。」
「全然。むしろ、光栄よ。」
あくびをする彼に、少し汗ばんだ額にキスをする。熱で潤んだ瞳に見惚れていると、今度はアーサーから口に触れるだけのをする。
「ゆっくり休んで。」
「・・あぁ。」
こんな日くらい
(ゆっくり休んでね)(私の名前を呼び続ける彼に、そっと告げて、私も一緒に眠りにつこうかな。)
風邪をひいたいぎぎはデレ全開であればいいという妄想の産物^^←