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□我らは血に抗う術を知らない
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その日、外は静かだった。
こんな時代、静寂は心地よかった。
聞こえてくるのは、血の流れる鼓動と、銃と刀の交わる音。
そして、人々の啼く声。
小さいころ、何も知らずにこの世に生を受けた小さい弟の声に、似ていた。
聞くたびに、自分を殺した。
記憶が、痛むから。
一族に縛られた我らは、
途絶えるべきなのか。栄えるものなのか。
何故だかは分からない。
だが、弟に、極卒に会ってみたいと思った。
空を飛び交う飛行機が、
灰色の空を、まっすぐ飛んでいく。
愛おしい弟よ、
お前の嫌っている戦を、仕切っているのが私だと知ったら、
お前は何と言うだろう。
孤独な私を、兄として、慕ってくれるか?