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□我らは血に抗う術を知らない
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最期が、近いのか。
傍には今まで会いたいと思っていた、弟の姿が見えた。
「極・・・卒なのか?」
「兄さま・・・兄さまのですね。
やっと、お会いできたっ・・・」
互いが会いたいと思っていたのか、
そう思っただけで、自然と笑みがこぼれた。
闘いに、戦に心奪われた愚かな我らの一族よ。
あのような言葉の意味は分からないが、ひとつだけ言える。
双子として生まれた我らは、貴方達とは同じ道を行かず、
貴方達を超えてここに今、いる。
「兄さま、、お名前を・・聞かせてもらえませんか?」
「國・・・卒だ。」
「本当に、僕たちは似ていますね・・・
どうして・・・もっと早くに気付かなかったんでしょうかっ・・・」
極卒の涙は、頬を伝って私の頬に落ちた。
それは、暖かくて、遠い昔に置いてきてしまったものだった。
「極卒。」
「はい・・」
「お前は・・・我らのようには・・・なるな。」
「え?」
「戦とは愚かだ。
そのことに気がつくまで、我らは時間をかけすぎたようだ。
いや、自分の中の血に、抗うということをしなかったのだ。
どうか、お前は、抗ってくれ。
従うことなく、自分の道へ・・・
」
「國卒兄さま?兄・・・さ・・ま・・・・・・・」
私は、もう、戻らない。
だが、私の中に、一族のすべてを眠らせよう。
再び覚めるそのときまでが、
長く永いものであるように。