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□舞踏会、明けた夢
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会場の明るさを見せないように、外は漆黒の闇に包まれていた。
噴水のある庭に、薄く光が差す中で私たちは立っていた。
「疲れてる空気だね。」
「・・・顔を隠しても、貴方には分かってしまうのね。」
「俺の周りにも、似たような空気の奴がいるからな。」
「大変ね。」
「慣れたさ。」
「、毎日、媚を売って、関係を築くことに疲れたの。」
静かな空気の中で、響くのは水の音と私の声。
彼はただじっと話を聞いてくれていた。
「国民は皆従おうとはせず、毎日戦に明け暮れている。
上司からは、必要以上の仕事と接待ばかりを任せられて…
もう疲れたわ。」
「なあ、無理に、笑う必要はないんじゃないか?」
「・・・え?」
「無理に付き合ったって、いい関係は築けないさ。
お兄さんにも、いろいろあったから分かるんだ。
疲れた時は、息抜きで美味いもの食ったり、誰かに話を聞いてもらうのがいいんじゃないか?」
初めて会ったはずなのに、今まで会った人間たちと違う。
何故か安心できる空気。
この人が、上司だったらよかったのに。
「お嬢さん。」
「何ですか?」
「そろそろダンスタイムになるんだが、よかったら一緒に、いかがですか?」
「ええ。お願いします。」