02

□我らは血に抗う術を知らない
1ページ/6ページ


僕には生き別れの兄がいると聞きました。

一度も顔を合わせることもなく、

酷似した容姿と名前を持っていることしか知りません。

いつか、自分の一族のことを調べたことをあります。

そしたら、

兄さまはひとり、古いお城にいると知りました。

一族を担った、王の宿命だそうです。

その本に書かれていた王様は兄さまではなかったけど、

とてもとても寂しい顔をしていました。



その日の夜、僕は兄さまの夢を見ました。

古いお城、豪華な造りの部屋の中、

立派な部屋の中心に置かれた、豪華な椅子。

その傍に、兄さまは立っていました。

その横顔は、威厳と、王としての責と、孤独に満ちていました。


夢はそこで覚めてしまいました。

兄さま、僕は、貴方にお会いしたいのです。

どうか、昔の祖先よ、

僕を、兄さまの元へ、導いてください。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ