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□我らは血に抗う術を知らない
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僕には生き別れの兄がいると聞きました。
一度も顔を合わせることもなく、
酷似した容姿と名前を持っていることしか知りません。
いつか、自分の一族のことを調べたことをあります。
そしたら、
兄さまはひとり、古いお城にいると知りました。
一族を担った、王の宿命だそうです。
その本に書かれていた王様は兄さまではなかったけど、
とてもとても寂しい顔をしていました。
その日の夜、僕は兄さまの夢を見ました。
古いお城、豪華な造りの部屋の中、
立派な部屋の中心に置かれた、豪華な椅子。
その傍に、兄さまは立っていました。
その横顔は、威厳と、王としての責と、孤独に満ちていました。
夢はそこで覚めてしまいました。
兄さま、僕は、貴方にお会いしたいのです。
どうか、昔の祖先よ、
僕を、兄さまの元へ、導いてください。