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□愛しさ故に
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「髪を切ったルークってぇ“童顔”だと思いませんか?」

小さいぬいぐるみを背負った少女は 旅路にてふとそんな事を言った。

「えぇ。“女顔”とも言えますねぇ」

返事をするのは青いマルクト軍服を着た男性。階級は大佐。


「なんか、ヒラヒラのスカート着ても違和感なさそう…」

「おや、アニスもそう思いますか」

「ですよー。最近のルークってなんだか女々しいんですもん。イオン様と違う意味でお姫様かっちゅーの!」


“お姫様”という単語に ふむ、と私案深げにジェイドは顎に手をやる。


…しばらく経って、


「では試してみましょうか」

にこりと笑う。


「ほへ? それってどういう事ですか?」


ジェイドはアニスを呼び寄せると、周りに聞こえない程度−特にルークに聞かれないよう 小さな声でアニスに何かを告げる。


「おーい、置いてくぞー」

ずいぶんと先に進んでいるルークが、後方の二人に声をかけた。


「「すみません〜☆」」

二人は不気味なほどにこやかな笑顔で返す。
これはいつものこと。

だが、今回は違ったニュアンスが含まれていることをルークは気付かなかった−





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