ある日の晩のこと。 ガイが自分の部屋のベッドの上で読書をしていると。 「ガーイーっ」 窓の外から聞こえた、自分を呼ぶ声に顔を上げる。 読書を中断して黒縁眼鏡を外し、窓の戸を開けて呼び出しに応じる。 「どうしたー? ルークー」 隣の家の窓から顔を覗かせていたのは、高校1年生にしては幼く見える身長と容姿の赤毛の男子。 身を乗り出して、今にもこちらへと飛び移ろうとしている―そんな体制で。 ……まさか、とガイは顔を引きつらせた。 「ガイ!受け止めろよ!」 「あ、こら、ル―…!」 その予感は的中し、言い終えない内にルークは窓の縁の部分を蹴って、 部屋の窓から窓へとガイめがけて勢い良く飛び込んだ。 ガイは飛び込んで来たルークを受け止め、一緒になってベッドの上に倒れ込む。 2人分の体重がベッドにかかり、その反動でベッドが軋んだ。 「―っつ…。だから、何回も言ってるだろ。 いくら家が隣だからって、こーいう事するなよ… 」 受け止めたままの状態で、ガイがため息混じりに言う。 「ちゃんと玄関から入って来てくれ。合鍵は渡してあるんだから」 「確かに持ってるけど…こっちからの方が早いじゃん」 「そうだけど、危険が伴う。だから次からは玄関の方からな」 えー、とルークは不満の声を漏らしたが、ガイに睨まれたので渋々、分かったよ、と了承した。 …したものの、玄関から入る気はさらさらないのだが。 「で、どした?」 ルークの体から手を離し、ガイは上半身を起こして訊くと。 → |