「っ…!」 そしていつもこの時にルークは自分の言ってしまった言葉に気付き、声にならない声を発して手を伸ばすけれど。 扉を閉める バタン という重い音ににいつもかき消されて。 引きとめようと思って伸ばした手は力無く膝の上に落ち、扉から目を逸らしてルークはベッドに横になる。 いつもの、ことだ。 何もかも。 いつも自分の放った言葉でケンカは終わる。 (いや、そもそも…これってケンカとは言わねーよな…) だっていつも、一方的に怒っているのは自分のほう。 いつもワガママを言って困らせているのも自分のほう、なのに。 (なのに、ガイは) そんな自分に対してガイはただ立ち尽くし、苦笑してルークの言葉を受け入れる一方で。 そりゃあ黙ってばっかじゃないけれど、 大抵は反論せずに受け流していた。 (『嫌い』、なんて) 思ってない。 なのに出てきてしまうそのコトバ。 ガイが自分の時間を削ってまでもそんな約束をしてくれたことは、外に出れないルークを思ってこそだということを、十分知っているから。 そのガイのささやかな気遣いを嬉しく思っているのにも関わらず、 (どうして『嫌い』って言うんだよ、俺は!) つい言ってしまう自分にむしゃくしゃしてばかりだ。 謝ることも出来なくて。 それはまるで、ぐるぐると廻る螺旋のようだと、ルークは思う。 終始符はまだ打たれない。 Fin. †あとがき† ―ただ“螺旋”という言葉を使いたくて考えた作品です(´∀`)vv |