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□雪解けを溶かすように熱く
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「うーーん…」

宿屋のベッドの上で枕を抱え込み、ルークは悩む。

「おや、どうかしましたか。お腹でも痛いんですか〜?」

ルークしかいない部屋にジェイドが顔を覗かせ 挨拶代わりに軽くからかう。
違うっつの、とおもちゃにされた相手は返す。
 
「ほら、もうすぐクリスマスだろ。ガイのプレゼントどーしようかと思ってさ。 俺、毎年もらってばっかだったから」

用意しようと考えたことはあったのだが、結局は未遂で終わったと思う。

「だから今年こそは俺の方から何かあげたいな、って」

ちなみに、ガイにはまだこの事は内緒にしておくつもりだ。

「そういう訳で、ジェイドから何か良い案ないか?」
「クリスマスのプレゼント…ですか」

ジェイドは腕を組んで考え込む素振りをする。…一応。
そしてある事に気付き、ルークに問う。

「ルーク、あなたはクリスマス・イブが明日ということをご存知で言ってますよね?」

「? ああ」

「では今の時刻は?」

「え? えーと、夜の7時過ぎじゃ…っあ!」

血相を変えて、シンプルな円型の壁掛け時計を見上げる。

ただいまの時刻、


「―9時…!?」


「店はほとんど閉まっちゃってますね」


あららー、と陽気な声を出してジェイドはわざと肩を落とす素振りを見せる。

ルークはその仕草を気にも留めなかった。というか見えていなかったし聞こえてもいなかった。
だって彼は焦りと後悔でいっぱいだったから。 

気付かなかった。悩み始めてから2時間も経っていたなんて。

 
「ど、どうしよう!? とりあえず今から捜索ポイントへ行って―」

「夜は魔物が昼間より一層活性化します。1人での夜の外へは行かない方が身の為ですよ。…まぁ、あなたが死んでも私にとってはどうでもいいことですから止めませんが」

一見みればとげとげしいが、でもそれはジェイドなりの優しさの忠告を受けて、パニック状態に陥っていたルークは部屋を走り出て行こうとするのを止めて、立ち止まる。 

コツコツと足音を響かせ部屋から立ち去る際に、1つ、ジェイドは言う。 


「大事なのは物じゃくて気持ち、だと私は思いますよ」

「……!! あ、ありがとう。ジェイド」 

「いえ。では、お休みなさい」


(まぁ、あの彼の事ですからなんでも喜びそうですけどね)

そんな推測をしながらも、さっきのルークの様子からして はたして大丈夫なものかと心配したジェイドは アルビオール操縦士のノエルに、少しでも雰囲気を出そうと 明日はケテルブルクへ行ってもらうよう伝えた。






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