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□眠れない夜は君と
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「――っ…!」

真っ暗闇な部屋の中。
見えない何かから逃げるように体を勢いよく起こし、ルークは覚醒した。
周りを見回し、さっき見ていたことが夢で、今見ている景色、感触、匂いから現実であることを認識し、安堵の息を吐いた。

「大丈夫か?ってそんな訳ない、な…」

閉じた瞼を再び開き、隣のベッドにいる、自分と同じように上半身だけを起こし心配そうにこちらをじっと見据えるガイの姿を捉える。

「大丈夫だって。ちょっと…悪い夢を見ただけだから」


―また、見た。見てしまった。否応なしに。
アクゼリュスを崩壊させてから頻繁に見るようになった“あの夢”を、今夜も。

ルークはその内容のことを深くは言わない。だが言わずともその大体の内容はパーティ内の誰もが、ルークが見る“夢”がどういうものなのかを理解していた。

故に、一度その夢を見た後はルークは眠ろうとはしない。
悪夢に苛まれる夜は最初の頃と比べると随分その回数は減った。
だが、いくら減少したからと言っても消えるわけでは無く。
度々こうしてルークは夜中に目を覚ます。

事情を知っているガイはただ「そうか…」と頷くことしか出来なかった。


「起こしてごめんな。ほんとにもう、大丈夫だから…」

ルークは精一杯作り笑いだと判る笑みを繕い、

「さ、さっさと寝ようぜ! また明日も戦闘とかあるんだからっ」

ガイに背中を向け、大げさに布団を深く被る。

「…ルーク」

そんなルークの様子を黙って見ていたガイが、呆れた顔つきでため息混じりで名前を呼んだ。

「な、なんだよ?」

「おまえ、今日もまたそうして眠らないつもりだろ」

ガイの言葉に、ビクリとルークの華奢な肩が小さく跳ねる。

「な、なんでそんな事―」

「分かるのか、ってか? 戦闘中だというのに眠たそうに目を何度も擦ってたのは…さぁてどこのどいつだったかな〜」

顎に手をやり、澄ました顔をして横目でこちらを見てくる。
事実を言い当てられたルークは次の言葉が出て来ずに押し黙る。






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